企業で働いている人ならば必ずといっていいほど経験するのが会議ですが、ビジネスパーソンとしてキャリアを積んできた人でも会議が好きという人は少ないようで、多くは「つまらない」とか「何を話せばいいのかわからない」といったように、会議自体に価値を見出せずにいるのではないでしょうか?

今回はそんな非効率になりがちな会議を少しでも生産性の高いものにするたに重要なポイントや、効率的なすすめ方について考えてみましょう。

 

ほとんどの会議は無駄?

会議は単にコミュニケーションを取る場ではない

私たちがビジネスパーソンとして仕事上の会議を設定するうえでまず考えなければならないことがあります。
それは現実として、ほとんどの会議が本来は全く必要がないか、必要性の著しく薄いものであるということです。

これは毎日のように仕事で何らかの会議をしている人には驚かれることかもしれません。

 

しかし圧倒的多数のビジネスパーソン達が、冷静に考えると重要度がそれほど高くないアジェンダについて長時間議論をしていたり、場合によっては何について話し合っていたのかすらも参加者の間で意識が違っていたりする会議にビジネスの貴重な時間を取られてしまっているのが現状なのです。

あなたも会議を進めるうちにいつの間にか論点が行方不明になっていたり、本来の議題とはかけ離れたトピックについて延々と議論しているような会議に参加したことがあるかもしれません。

参加者同士のコミュニケーションの場と考えれば全くの無駄というわけではないかもしれませんが、それは必ずしも会議という場でする必要のないことです。
特に気心の知れたメンバーで話し合うのであれば、そういったコミュニケーションを優先させる必要はありません。

 

効率的な会議にするために「目的」を明確に

新商品やサービスのアイデアを出すブレインストーミングのような話し合いならばいざ知らず、事前に決めたアジェンダから逸脱して余計な話し合いまでしてしまうのは明らかな時間の無駄となってしまうでしょう。

ピーター・ドラッカーが言っているように、会議のような知識労働のパフォーマンスを向上させるために問うべきなのは

『何が目的か。(現実的に)何を実現しようとしているのか、どうしてそれを行うのか』

を明らかにすることです。

その会議の目的は何か?何をもって話し合いを終わらせるのか?あるいはどのレベルまで議論が深まればよしとするのか?その会議によって(ビジネス上の)何を実現しようとしているのか?

こういったことを参加者同士でなるべく会議の前に共有しておくことが重要でしょう。これはよく言われることではあるのですが、長年会議を行うことが常態化しているとつい忘れてしまうことです。

 

「終わり」にする基準は?

特に「何をもって会議を終わらせるのか?」という問いは殊更に重要なものといえるでしょう。この意識を参加者全員が共有することが肝要であり、逆にこの意識が欠如していると終始「何となく」で会議が進んでいってしまうことになります。

何となく皆が集まり始めたから会議を始め、何となく参加者が発言をして、何となく議論が煮詰まったので終わりにする・・・こういったスタイルで開かれる会議が後を絶ちません。あなたもこういった「集まり」に参加した経験はないでしょうか?

 

これでは会議場に蔓延する「空気」によって会議自体の生産性が決まってしまうことになります。参加者達は自分の意見こそ表明できたものの、結局その会議が何のために開かれ、それによって具体的に何がどう進んでいくのか曖昧なままミーティングルームを後にすることになるでしょう。

ですからゴールは明確にしておかなくてはならないのです。これは会議の進め方を考えるうえで大前提となるものであり、いかなる分野の会議においても必須のことです。
ゴールが明らかにならなければ、各人の主観で会議自体の評価がされてしまうことになるでしょう。それは即ち、参加者がそもそもの目的を忘れてしまっているということです。

 

会議の出来は事前準備で決まる

そして生産性の高い会議には事前準備が欠かせません。

前もって必要資料を共有し、その重要箇所について参加者の間で共通認識をもっておく必要があります。アジェンダが進行するたびに資料の該当箇所を皆で読み込むというような会議が蔓延していますし、場合によっては参加者が他の人の発言や会議の進行を無視して勝手に資料と睨めっこをしている・・・ということさえあります。

これは明らかな時間の無駄であり、参加者の間で会議の重要箇所を共有できずに終わる危険があるでしょう。

特に会議資料に関しては、参加者が各人で主要な論点と重要箇所を把握したうえで会議を始めるのが望ましいといえます。人によって文章を読む早さや理解度に差がありますから、参加者全員に議論の勘所(カンドコロ)となる箇所を共有させるために会議自体の時間を使ってしまうのは著しく非効率となるのです。

ビジネス上の会議では「事前に資料をよく読みこんでおくこと」が推奨されることは今や常識となっていますが、いまだ各々が会議中に資料を読んで議論に参加していないというケースがたくさんあるようです。

何事も事前準備こそが重要なのです。効率的に会議を進めるための大前提として、ここを押さえておかなければいけません。

 

会議は「プロジェクト」の一環

「今話し合う必要ないもの」を共通認識として持つ

ほとんどのビジネス上の会議は、何らかの「プロジェクト」の一環として開かれるでしょう。新商品のコンセプトを決定するもの、そのローンチの仕方を決める会議、あるいは対象顧客を絞り込みについて・・・というふうに、議題そのものは多種多様なものとなりますが、それら全ての会議はビジネスプロセスの一部として開かれるものです。

 

ですから既に述べたように、その会議の目的はどこにあって何のためにそれをするのかを明らかにすることが重要であり、それによって実現されるビジネス上の利益をできるだけはっきりさせておく必要があるでしょう。

特に、その会議で出される結論が最終的にビジネスプロセスのどの部分にどれほどの影響を与えるのかをなるべく具体的にしておくべきであり、それを参加者の間でしっかりと共有しておくことが重要です。

そしてプロジェクト全体の進行によっては、事前に決めておいた会議自体が不要なものになる可能性もあるでしょう。それでも惰性によって意味のない会議が開かれてしまうのは、参加者の間に目的の共有ができていないからです。

参加者の皆が「これは今必要ない」とか「もはや意味がない」という意識をもつことができれば、本来は不要な会議を開いて時間を浪費することはなくなるはずです。

 

議論に集中させる

このように会議自体を無駄にせず効率的に有用な話し合いをするためには、各人が日頃から会議をプロジェクトの一環と捉え、広い視野でビジネスをプロセスとして考えておく必要があります。その上で、会議中は徹底して議論や話し合いに集中できる進行が不可欠となるでしょう。

近年は会議中に参加者が余計な振る舞いをしないように様々な工夫を凝らしている企業がたくさんあります。

たとえば議長にあたる人が、前もって会議の目的と具体的な進行を明らかにして、そのトピックごとに厳格に時間配分をします。その間は他人の話をしっかりと聞き、その議題に合った発言だけをするように促すなどの方法をとるのも有効でしょう。

人間はともすると論点がズレた発言をしてしまいやすいですから、前もって会議全体の重要な論点と、それぞれのトピックでどういう結論を出さなければならないかを事前に明らかにして話し合いに入ることは極めて重要なことといえます。

既に述べましたが、何となく皆がミーティングルームに集まって、何となく話し合いを始めるというスタイルは、結局「何となくの結論」しか出すことができないのです。

 

長くやればやるほど最悪の会議に近づく

重要な議題の場合にはそれなりの話し合いの時間をとる必要がありますが、長すぎる会議は逆に生産性を落としてしまうことになります。

つまり参加者が皆集中を切らしてしまい、誰も全体の利益となるような発言ができなくなってしまうようになるのです。これは心理学的な側面からも生理学的な点からも証明されていることです。

人間は一つのことに集中し続けることはできません。それが数人で行う会議であっても一般的なデスクワークと同じように、いずれは誰もがクリエイティブな発言をすることができなくなってしまいますし、他人の話も耳に入らなくなってしまうのです。

ですから時間は厳格に管理する必要があります。

たいていの議題は30分もあれば結論を出すことができるでしょう。長くても人間が集中を持続させられる90分以内にすべきであり、できればその間に数分の休憩時間を設けることをおススメします。この「メリハリ」こそが参加者から高い集中力と生産性の高い発言を引き出すコツです。

 

会議「記録」のススメ

「記録」によって会議自体の生産性を検証する

時には会議それ自体のパフォーマンスについて見直してみる必要があるでしょう。
そのためには、誰か担当者を決めるなどして「会議記録」を残しておくことも有効な手段だと思います。

「記録」といっても議事録のことではなく、その会議がビジネスプロセス全体から考えてどれほどの生産性をもっていたのかを検証してみるためのものです。
人間は何かにチャレンジしてうまくいかなかったときに感じた感情やそのときの状況を詳細に残しておくことで、その後のパフォーマンスを劇的に向上させることができるようになります。

同じように、会議という場についても、そこから何か気づきを得たことや改善点について後から振り返ることのできるように記録しておくのです。

たとえば、本当に時間帯効果のある会議となっていたのか?その議論に本当に必要な人が参加していたのか?逆に不必要な人まで参加させていなかったか?などを詳細に検証してみましょう。そして定期的に他の参加者とそれを共有するのです。

 

「スタッフの時間=企業にとっての資産」

さらにそういった会議自体の生産性に関することをたった数十分話し合うだけで、次回からの会議のパフォーマンスが劇的に改善されるはずです。

特に一つひとつのテーマ別にしっかりと時間を決めて短時間で話し合いや打ち合わせを終わらせることは、企業全体の利益にも繋がってきます。たとえばGoogleなどの企業ではわずか10分程度の単位で時間を分けて会議を行っているといいます。それだけ「スタッフの時間=会社にとっての資産」という考え方が定着しているのでしょう。

しっかりと事前に資料の内容を理解しておき、短時間で高レベルな議論をしてしっかりと結果を出す。そして定期的に会議のやり方をより高品質なものに変えていく・・・。
そういったプロセスを繰り返すことによって会議の質はどんどん上がっていき、短時間でビジネスにとって有益な結論を出せるようになっていくのです。

 

まとめ

効率的で生産性の高い会議の進め方について説明してきました。

重要なのは事前準備やしっかりと論点を明らかにして議論を進めること、厳密な時間配分をすることです。そして定期的に会議の仕方についても皆で話し合ってみることをおススメします。それだけで仕事全体のパフォーマンスが劇的に改善されるでしょう。これは既に多くの企業が「体験」していることなのです。

あなたも「所詮は会議」などと割り切らずに、今日から生産性の高い会議の仕方について周囲と意見を出し合ってみてはいかがでしょうか?

カテゴリー: 仕事術

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新卒で入った会社をわずか1週間で辞め、個人事業主として生きています。メディア運営の知識やノウハウを最大限発信していきます。

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