本記事は特にビジネスパーソン向けに仕事やビジネスにおける自分の「発言」について考えて貰おうとするものです。といっても具体的な発言内容というわけではなく、その発言に至るまでの考え方や前提認識にフォーカスしてもらおうとするものです。

多くの人は仕事における問題解決に効果的な発言があることを知っているでしょう。本質的な発言は問題の真の姿を浮き彫りにし、それに効果的に対処するための施策を与えてくれることは事実です。

しかし目の前の問題に囚われた発言を繰り返すことの「落とし穴」というべきものも存在します。それはあなた自身の成功に関わるものなのです。特に自らの発言が周囲に大きな及ぼすポストにいる人や、その発言自体を商売にしているようなコンサルタント業の人は参考にしていただきたいと思います。

 

「問題」はあなた自身が生み出している?

あなたは何のために「発言」しているか?

仕事やビジネスでは「問題の解決」こそが目的となることが多いはずです。
「今月の売り上げが振るわないので、営業の改善策を洗い出す」とか「作業の効率を落としているボトルネック解消する」といった目標は、いかなる分野の仕事においても重要視されているでしょう。

そんななかで、あなたがその問題に対してどういった発言をするかによって、あるいはその問題解決の糸口となる発言ができるかによって、あなた自身の仕事での評価は変わってくるでしょう。場合によっては、それが今後のキャリアにも関わってくるかもしれません。また、優れた発言はあなた自身の仕事における影響力を強めていくことにも繋がるはずです。

そんなわけで、多くのビジネスパーソンがそういった「優れた発言」をするために日々努力を重ねています。たとえば論理的思考力を身につけたり、あるいはプレゼンの技術を磨いたり・・・そういった細かい技術の積み重ねが、ビジネス上の問題を解決する発言を自分のなかから引き出せるようになる道だと信じているのです。

 

何を目指すかによって発言の「質」が変わる

しかしここで注意しなくてはならないこともあります。
これはビジネスではもちろんのこと、プライベートにおいても同じことがいえるのですが、あなたが「何にフォーカスするか」あるいは「何を目指すのか」によって、あなたを取り巻く問題の質が変わってくるということです。当然、その解決のための発言の質も変わってくるでしょう。

たとえば、あなたやあなたの所属している部署が何らかのビジネス上の問題を抱えている
としましょう。経営者ならば、企業全体に関わる難しい問題に直面していると考えてください。

多くのビジネス書などでは、そういった状態にあるならば、まず問題を抱えていることをしっかりと認識し、具体的にそれが何なのかを誰の目にも明らかなようにすることを推奨しているはずです。そうすることでその問題の解決のための実際の行動に繋がっていくからです。

確かにこのこと自体は疑いようのないことであり、あなたがそんな場面で問題を正しく認識し、それを解決するために必要な選択肢を洗い出すことができたならば、あなたの発言は会社全体の経営状態を改善するためのきっかけとなるかもしれません。

 

「問題解決病」に陥っていないか?

それはそれで素晴らしいことですが、少し立ち止まって考えてみましょう。
というのも、人間というのは「自分たちがこうあるべきだと考える現実」が目の前の現実と違っている時点で、それが問題だと認識してしまう癖があるからです。

特にコンサルタント業などに従事している人は、この「理想と現実のギャップ」を埋めるための優れた発言をすることが、いわば職業人としての価値であるとみなされる傾向があるでしょう。彼らはその発言こそが、いわば商売道具だからです。

しかしそういった職業に従事している人はもちろん、一般のビジネスパーソンであってもある種の経験をしているはずです。即ち「問題を突き詰めて解決すればするほど、新しい問題に突き当たる」という経験です。そして気がつくと「新しい問題を発見すること」それ自体が仕事になってしまっている・・・。そんな状態に陥ったことのある人も多いのではないでしょうか?

つまりどんな細かい問題も気になって、それを解決しなければ気が済まないような状態に陥っているということです。仕事で発言力のある優れたビジネスパーソンほど、この「罠」に陥りやすくなっています。

 

「現実」に囚われ過ぎない

このような状態から抜け出すためのヒントとして、まずは「現実を正しく認識する」ということが挙げられるでしょう。ただし、気をつけていただきたいのは、上述の「問題を抱えていることをしっかりと認識」するということとは、全くといっていいほど意味合いが違うということです。

つまり問題解決のために現状を把握するだけではなく、あなたはまず「ありのままの現実」をそのまま受け入れなければならない、ということです。

少々哲学的な表現になりますが、あなたの目の前にある現実には、本来「いかなる問題も存在などしていない」のです。問題それ自体は、あなたのなかにある理想や目標としている状態との差異のために、あなた自身が生み出しているに過ぎません。

ですから、あなたは将来のあるべき姿を定期的に確認することで、いつの間にか問題解決自体が目的化している状態から抜け出すことができるようになるでしょう。あなたの本来の目的とは関わりの薄いものを切り捨てることができるようになるからです。

そうすれば、あなたの発言もそれに応じて「問題視点」から「成果視点」へと変わってくるはずです。

 

問題にフォーカスするのか、成果を重視するのか

タイプの分析を

少し観念的で分かりづらかったかもしれませんが、要はあなたの仕事における発言が「問題解決」を重視しているのか、あるいは「成果」にフォーカスしたものなのかということです。

特にキャリアアップを目指すビジネスパーソンは、仕事で評価されるために所属している部署や目の前の問題を解決することに躍起になろうとします。高収益を目指すコンサルタントもクライアントから評価されるために、彼らの抱える問題について何とかうまい解決策はないものかと模索するでしょう。

しかし目の前の問題に注目すればするほど、いつの間にか問題をうまく解決することが本来の自分の役割であるかのように錯覚してしまうようになります。自分の本来の意思や目的がどこかに行ってしまっているのです。当然、あなたの発言も目の前の問題に関するものばかりになることでしょう。ほとんどの場合、その発言はあなたやあなたの会社の将来に直接的に繋がってはいません。

 

問題そのものを重視するのか?それを俯瞰するのか?

多くの人は問題解決を重視するスタンスと成果についてフォーカスすることの違いについて明確に意識してはいませんが、これは明確に分けなければならないのです。それが実際にあなたの発言の質にも大きく関わってきます。

問題の解決を常に重視する人は、たとえば自分や会社にとってマイナス(だと思い込んでいる)出来事が起こったとき、自分の望むものに優先して「一体どこが悪かったのか?」とか「何が原因になっているのか?」といったことについて考えるでしょう。責任の所在についても明らかにしようとするはずです。

しかし逆説的かもしれませんが、このような考え方は、問題と考えられる出来事やそのものについての望ましくない側面に重きを置くことになりかねません。

 

成果にフォーカスすることによって「本質」を掴む

一方、あなたの望む成果がはっきりしているならば「自分は(結局のところ)何を求めているのか?」とか「それをいつまでに実現させたいのか?その理由は何か?」といったところから目の前の問題を俯瞰してみることができます。

そういった視点から、実際にその目的を達成するために目の前の問題がどう関わってくるのか?本当に解決する必要があるのか?といった質問を自分に投げかけることは非常に重要なことです。場合によっては、問題はもっと別なところにあるのかもしれませんし、そもそも問題など存在していなかったことに気づくかもしれないのです。

つまり「成果」にフォーカスすることによって、あなたやあなたの所属する企業にとっての「本質」を自分なりに導き出すことができるようになるのです。
それに準拠した「本質的な発言」こそが、成功を目指すビジネスパーソンに最も必要なことであるといっても過言ではありません。

 

発言は自分自身の成功のためにある

自分の意思を明確にせよ

繰り返しますが、あなたにとって目指すべき成果や達成すべき目的が明確でない場合、たいてい近視眼的な問題ばかりに気をとられてしまうようになります。そうなれば、あなた自身のキャリアや仕事上の目標ではなく、他人の成果のために働き続けるような状態に陥ってしまうかもしれません。当然、あなたの発言もそれに準じたものに制限されてしまうでしょう。

ビジネスにおける問題解決とは、今自分たちに起こっていることを分析し、その根本的な解決策を模索するものがほとんどでしょう。それに付随して、あなた自身のビジネス上の課題を解決するために現状を分析するというアプローチが求められることもあります。

しかしいずれにしても重要なのは、その前提として自分が望む成果が何なのか明確にし、定期的にそれを自分の中に落とし込んでおくことです。おそらく多くのビジネスパーソンが仕事で成功したいと望んでいるはずでしょう。他人の成功のためだけに働き続けようと考える人などいないはずです。

 

あなた自身の成功に準ずる

ですから、自分にとっての「成功」とはどういう状態なのか、その基準は何か、あるいはそのために最も重要な事柄は何かについて、自分なりに明確にしておかなくてはなりません。そういった自分なりの成功の定義を明らかにしておくことによって、始めて今現在の問題に効果的に対処することができるようになるのです。

あなたの一つひとつの発言も、それに準じたものにする必要があります。
これは何も自分自身の成功にだけフォーカスして自分勝手な発言を繰り返せといっているわけではありません。周囲と協調して成果を出さなければ成功など覚束ないでしょう。

 

自分勝手になれという話ではない

そうではなくて、常に目の前の問題と自分の目的との間に繋がりをもたせるということです。そうすれば、本来は解決する必要のないものにまで時間を取られることがなくなるはずです。あなたが自分の成功をビジネス上の利益に置いている限り、それは周囲にとっても利益となるはずです。

逆に、あなたが本来自分の成功とは無縁の問題解決に奔走することは、長い目で見ればあなたが所属する部署や企業にとってもマイナスにしかならないかもしれないのです。

常日頃から仕事における発言を通して周囲に認められたいと思っている人は、こういった視点も重視してみましょう。そうすれば企業やビジネス全体にとっても、そして自分自信の成功にとっても効果的な発言ができるようになるはずです。

 

まとめ

本記事は人によっては、かなり意外な内容だったのではないでしょうか?

なぜならば、多くのビジネス書では自分を優秀な人材に見せるための言葉の使い方だったり、仕事で成果を上げるために果的な発言の仕方といった類の「目の前にある問題をスマートに解決するため」の方法について書かれているものがほとんどだからです。

しかしあなた自身のビジネス上の目標、ひいてはキャリア・人生全体についての目標が明らかになっていなければ、いつの間にか限られた組織・フィールドでのみ認められるような発言に終始してしまうことになるでしょう。それはあなたの望むところではないはずです。

無論、目の前の問題をスマートに解決することもキャリアアップには必要不可欠なことでしょう。そのために勉強することも重要です。ですが、それだけに終始してしまうと「本質」を見失ってしまうかもしれません。企業にとってもあなた自身にとっても、それは望ましい事態ではないと思います。あなたはもっと「成果」に目を向けなければならないのです。

そういった意味で、本記事があなたへの「警鐘」となってくれることを願います。

カテゴリー: 仕事術

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新卒で入った会社をわずか1週間で辞め、個人事業主として生きています。メディア運営の知識やノウハウを最大限発信していきます。

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