ピーター・ドラッカーが、その著書『経営者の条件』のなかで「自分にとって最も価値を生み出す仕事に、誰にも中断されることのない一定時間を充てなさい」と述べたように、私たちは仕事において最も重要度の高い仕事に集中して取り組む必要があります。

そして、それは職場環境の整備に気を使うことによって十分に実現することができるようになります。巷には職場の環境を整えて生産性の高い仕事をするためのノウハウや、それに類する書籍がたくさんありますが、それだけ仕事環境について配慮が必要だという認識を多くの人がもっているからでしょう。

そこで今回は、あなたの仕事のパフォーマンスを最大化するための職場環境の整備について考えてみたいと思います。
「環境」といっても、何もオフィスのレイアウトを変更するといった「見た目」的な話ではなく、あくまでもあなた自身の工夫によって仕事の生産性を向上させるための仕事環境を考えるということです。

 

生産性向上のポイント6つ

「仕事の中断」をなくす

ビジネス

ある調査では、ある程度効率的に仕事のできる企業人が様々な障害によって仕事を中断せざるを得なくなる頻度は、5~6分ぐらいなのだそうです。これは調査によって若干の数字のばらつきがあるようですが、総じて私たちは5分に一回程度、何らかの中断事由によって仕事をするための集中力を途切れさせられているのです。

そして、その理由の半分以上は、自分ではなく他人が原因となっているといわれています。

ですから私たちがパフォーマンスの高い仕事をするためには、まず外部要因による邪魔や中断を極力排除しなければならないのです。それこそが職場環境の整備おいて最も重要なことといっても過言ではありません。積極的に生産性の向上する環境の作り方を模索しなければならないのです。

確かに企業で仕事をしていれば、同僚や上司に声を掛けられたり、あるいは突然呼び出しの電話が掛かってきたりと、何かと目の前の仕事を中断せざるを得ない事態に陥ることがたくさんあります。たとえ自宅で仕事をしているフリーランサーであっても、その頻度こそ少なくなるかもしれませんが、メールの着信を知らせる音が鳴ったり、取引先から連絡があったりと中断事由が存在しないということはないでしょう。

その結果、重要な仕事をするための時間が足りなくなってしまったり、集中力が持続できなくなったりと様々な弊害が生じる可能性もあるはずです。
私たちは、そういった「障害」を極力排除するように環境を整えていくことを考えなければなりません。

つまり、あなたが重要視にしている仕事から遠ざけようとする出来事や、あるいはほとんど何の価値ももたらさない作業からあなた自身を守るのです。

 

プライベートな電話には出ない

電話

このことに関して、最近実践している人が増えているといわれるのが、スマートフォンなどの「電話に出ない」ということです。たとえ電話がかかってきたとしても、出るかどうかは自分で決めるという人が増えているのです。

あまりにも単純なように思われるかもしれませんが、意外なほどに多くのビジネスパーソンが、仕事中でも平気で電話に出ることが明らかになっています。それによって重要な仕事に充てる時間が削られてしまっているのです。

「たった2、3分の話だろう」と思われるかもしれませんが、問題なのは電話に出ることによって一度集中が途切れた状態から、もとの集中状態に戻るまでにかなりの時間を要してしまうということなのです。

事実、一度集中が途切れてしまった場合、再び戻ってきたときに元々のパフォーマンスに戻るまでに20分近くかかってしまうという研究結果もあります。それだけ集中力というのは維持するのが難しいものなのです。

それにたとえ仕事といえど、今すぐに話をしなければならない事態などほとんど起こらないのが実情ではないでしょうか?

そんな理由で、オフィス内で一切の携帯電話の使用を禁止している企業が増えてきているのです。それによって企業全体のパフォーマンスを劇的に改善されたという報告がたくさんされていますので、効果は折り紙つきといえるでしょう。

これは誰にでもすぐに実践できるテクニックですので、ぜひあなたも取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

「中断」時間を設定する

コーヒー

また、仕事を中断してもよい時間帯を決めておくというのも有効なテクニックでしょう。

毎日ある時間帯を設定し、その時間帯だけこちらに接触してもらうように周囲に頼んでおくのです。急ぎの連絡などもなるべくこの時間帯にするようにしてもらいます。

無論、企業人ならばそういったやり方はかなり制約がつくかもしれませんが、前もって「この時間ならばすぐに要件に対応できる」ということを周囲に知らせておけば、それに添った対応をしてくれる人もいるはずです。特に優秀な人材はこういったアプローチの有用性をよく知っていますから、そういう人ほど理解を得やすいと思います。

重要なのは、ドラッカーのいうように「自分にとって最も生産性の高い仕事に時間を使えるようにすること」です。その環境を整えることに時間を割くことは、長期的にみて莫大なリターンをあなたにもたらすでしょう。

より具体的な方法としては、たとえば30分~1時間ぐらいの時間を特別に用意するようにします。この時間帯には急な電話にも出るようになるべく周知し、さらにメールもチェックするようにします。場合によっては、部下の相談にのってもよいでしょう。

意外なことに、優秀な人材ほどメールの返信が遅いという調査結果を、あるビジネス誌が載せていたことがあります。これは生産性の面からいえば至極(しごく)当然のことでしょう。優秀な人は、最もパフォーマンスの高い仕事をする時間を何よりも優先して確保しようとするからです。

逆に、些細な要件のメールにさえすぐに返事を書いてしまうと、いつでも反応が返ってくる人だと周囲に認知されかねません。そしてそれが当然に思われてしまうようになると、常に仕事を中断させる出来事が外部からひっきりなしにやって来ることになるでしょう。

このような仕事環境は決して生産的とはいえません。

それによって、あなたは自分にとってさほど価値のない瑣末な作業に追われることになるでしょう。何度も繰り返しますが、自分にとって重要な仕事を明らかにし、それに集中力を最大限に発揮できる環境を整えなければならないのです。

 

マルチタスクはしない

マルチタスク

ビジネスパーソンのなかには様々な仕事を同時並行でこなせることこそが優秀さの証であるかのような考えをもっている人が少なからず存在するようです。

いわゆる「マルチタスク」ですが、これは明らかに間違った考え方です。心理学的あるいは生理学的な面からも推奨されないことが既に明らかになっているからです。

上述したように、人間はいったん集中状態が途切れると、もとの状態に戻すのに約20分もの時間を要してしまいます。具体的な数字は研究によって上下しますが、総じてそのぐらいの時間の無駄が生じてしまうのです。生産性を高めるための職場環境にこだわるのであれば、この事実を無視するわけにはいかないでしょう。

マルチタスクというのは、複数の作業を行ったり来たりすることを指しますから、集中力を発揮して生産性の高い仕事をするという考え方とは正反対の概念なのです。
そのようなアプローチをとるのであれば、むしと一つひとつの仕事を順番に集中してこなすほうが、遥かに仕事の効率は上がるでしょう。

しかし、私たちはどうしてもマルチタスクを避けられない状況に陥ることがあります。特に忙しい企業人や起業家にとって、同時に複数の作業を並行して行わなければ仕事を回すことのできない状態になることも十分考えられます。

それでも常にそういった状態に陥ることだけは、何としても避けなければなりません。

 

集中タイムを設定する

集中

まずは自分にとって重要な仕事・タスクを明らかにし、それに集中する時間を必ず設けるようにしましょう。これを1日のうち、最も集中力が高まる時間に設定します。これを仕事において生産的な環境を整える基本でだと考えましょう。

そして残りの時間のうちで、特別にマルチタスクを行う時間帯に設定するのです。つまりどうしても避けられないならば、あえてマルチタスクに従事する時間を特別に設けるということです。それによって非効率的な時間をうまく管理していくのです。

たとえば、夕方の1~2時間程度をマルチタスクをしてもよい時間に充てるようにスケジュールを組んだり、急な作業が入りやすい時間帯を前もって把握しておき、その時間だけは同時並行で作業をしてもよい時間として考えておくことも有効だと思います。当然、時間帯は厳しく管理しなければなりません。

このように、重要なのは予め時間帯を考えておくことなのです。これに慣れてくると、突発的な出来事にも対応できるようになり、無駄な時間をとられることが減ってくるでしょう。

 

集中する時間と休む時間のメリハリを

パソコン

人間のモチベーションには波があり、誰でも90分程度を目安に一時的に集中力とモチベーションが下がってしまうようになっています。
ですから、1日中休みも取らずに仕事を続けるのはむしろ非効率的であり、気力で仕事を続けたところで、生産性は著しく落ちてしまうのです。

ですから、私たちは適度に休憩をとらなければなりませんし、しっかりとリフレッシュできる環境も整えなければなりません。

人によっては休憩を軽視している場合がありますが、ある意味で仕事における休憩は「義務」と考えてもよいほどなのです。それだけ長い目で見れば生産性に強く関わってくるからです。

一番よくないのは、中途半端に仕事をしながらだらだらと休憩をとってしまうことです。これはオーバーワークの原因となり、そのうえ生産性も碌に上がらないという最悪のアプローチといえます。もしあなたがそういう仕事の仕方をしているのならば、今すぐやめることをお勧めします。

仕事にも休憩にもメリハリが必要なのです。これは皆知ってはいるものの、なかなか実行できる人は多くないようです。ですからあなたが積極的に実践することで周囲に圧倒的なパフォーマンスの差をつけることも不可能ではないのです。

 

まとめ

これまで述べてきたように、あなたが集中できる時間帯は、自分にとって価値の高い仕事を積極的に行いましょう。そして休憩時間はしっかりと休むようにします。その繰り返しこそが、仕事のパフォーマンスを最大化する秘訣です。

ビジネスでは「重要な少数に特化せよ」と言われますが、これは仕事のやり方にも言えることです。私たちは最も集中できる時間帯に最も価値の高い仕事をしっかりとこなす必要があります。そしてそのための環境作りに腐心する必要があるのです。

ぜひ毎日少しの時間であっても、自らの仕事の生産性を高めるための環境作りをしていって下さい。それが長期的にみれば、大きなリターンとして自分に返ってくるはずです。

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