インターネットがすっかり生活に定着して既に10年以上が経過していますが、今でもパソコンを使った新しいビジネスがどんどん登場していますし、それに従事する人も増え続けています。
しかし同じぐらいの割合で多くのネット起業家がビジネスを軌道に乗せることができずに廃業しているのも事実であり、栄枯盛衰が非常に早いといわれているビジネス分野でもあるのです。
そこで今回は、パソコンを使ってビジネスをしているネット起業家が陥りがちなパターンを指摘し、ビジネスそのものに対する考え方と、長期的にビジネスを維持するうえで一番重要ともいえる「新規顧客の獲得」について説明します。
「パソコン起業」の変遷
「情報を売る」というコンセプトの登場
インターネットが登場してから、本当に沢山のビジネスが考え出されてきました。
たとえばWEB制作業やサイト運営事業はもちろんですが、インターネット黎明期から既に多くの人が参入していたのはパソコンサポート事業でしょう。あるいはパソコン教室を開いて集客する人も当時から沢山いました。いわゆる「パソコン周り」の環境を整えることをビジネスにする人が多かったわけです。
そしてネット環境が多くの日本人に行き渡るにつれて、パソコンやネットの使い方を教えるというビジネスだけではなく、徐々にネット上で様々な情報を売るいわゆる「情報起業」という分野が出てきました。
特にインターネットの特性を生かして、いつでもどこでも時間を選ばずに高収入を目指すといったコンセプトが登場し、パソコンを使って自分なりのやり方で稼ぐ人が沢山登場してきたのです。
彼らは「パソコン一台あれば稼げる!」を謳い文句に、起業にともなうリスクを極小化して自分の得意分野のスキルや知識を「情報」として売ることをメインにビジネスを始めました。それが徐々に進化していくなかで、いわゆるアフィリエイトやプロダクトローンチなどといったやり方も生み出されてきたわけです。
そしてネット上だけではなくセミナーやコンサルタントといった「リアル」と連携しながらビジネスを発展させるといったやり方も、今ではすっかりスタンダードな手法となりました。
パソコンを使ったネットビジネスの裾野
当然、こういった「パソコン一台」だけでビジネスを完成させる人々だけでなく、ネットショップを開設してオリジナルの手作り商品を売ったり、リアル店舗の拡販としてネットを利用する人々も右肩上がりに増え続けているわけです。
今でもパソコンを利用したビジネスの裾野は広がり続けており、単純に「パソコン起業」といっても、その定義や分類が難しくなっているのが現状でしょう。
しかしそれらがビジネス上どういった分類をされるにせよ、こういったビジネススタイルを好む人々には成功する人と失敗する人がいます。他のビジネス分野同様、成功者と失敗者がはっきりと別れてしまっているのです。
では、両者の違いはどういった点にあるのでしょうか?
それは彼らが常にビジネスチャンスを追い回しているのか、あるいはきちんと長期的な計画に基づいてビジネスを展開しているのかの違いによるのです。
失敗する人たちの特徴と重要なこと
ビジネスチャンスを探し回る
パソコンを使ったオンラインビジネスにありがちなのが、短期的に儲かるビジネスをゲーム感覚で次々と立ち上げるケースです。
そういうスタイルに血道を上げる人々は、ひたすら「儲かる分野」や「儲けのノウハウ」というものを常に探していて、そのときの最新の儲け方を探し求めています。
あなたがもしパソコンを使って事業を立ち上げた経験があるならば、そのような情報やノウハウを一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?もしかすると、あなた自身がそういった様々なビジネスノウハウを試して回っている人かもしれません。
そういったスタンスでパソコンビジネスを展開する人は、常に「これが儲かる!」といわれたやり方に飛びついてしまいます。彼らがビジネスをする基準は「どうすればパソコン一台で楽に稼げるか?」というものです。
その結果、PPCなどの広告手法が流行っているといえば学び始め、動画マーケティングが流行っているといわれれば、今のやり方を放棄してそれに飛びつく……ということになってしまうのです。
彼らは勉強熱心であり沢山の自己投資を行いますが、そのほとんどは役に立っていません。なぜならば、そこで学んだやり方を実践して試行錯誤を重ねる前に、つぎに儲かるノウハウの勉強を始めてしまうからです。
これではビジネスはうまくいきません。
ビジネスを「育てる」という視点の欠如
そして副業として新しく事業をやりたいとか、これまでとは違った分野で新規顧客を獲得したい、あるいは新しい市場そのものにチャレンジしたい……そういった新しいビジネスチャンスを自分のものにしたいと考えるネット起業家もとても多いです。
特にパソコンを使ったネット事業は非常に参入障壁が低く、ともすれば誰にでもできてしまうものが多いために、どうしても手当たり次第にビジネスを始めてしまうような人が後を絶たないのです。
しかし多くの時間を投資して一から事業を構築して、何とか利益を上げるビジネスに成長させていくことを考えると、中途半端にあれもこれもとビジネスを広げていくのは決してよいやり方ではありません。
ビジネス成功の秘訣は最も成功する可能性の高い市場に集中することです。
少しでもビジネスチャンスがあるとみるや次から次へと手を出していては、いつまで経ってもあなたが望んだ結果を得ることはできないでしょう。
「集中する」という処方箋
こういった、結局は失敗してしまうネット起業家が後を絶たないなかで、確実にビジネスを成長させられる人もいます。彼らは自分のビジネスをどのように成長させ、どうやって長期的な利益を上げていくのかについて、明確なビジョンがあります。
ビジネスにおける明確なビジョンをもっているために、自分の得意分野やスキルから「強み」をしっかりと抽出し、同時にライバルである競合の得意分野も把握します。つまり、しっかりと自分のビジネスの市場について把握し、成功のための戦略を策定するのです。
そしてビジョンを達成するために最も適した戦略について、一つ一つ実践しながら修正を加えていくわけです。成功しているネット起業家は、とにかく市場に「集中」するのです。一つのビジネスを立ち上げたら、それが市場に適したカタチになるように絶えず試行錯誤を繰り返して軌道修正するわけです。
彼らは決して上辺だけの「儲けのノウハウ」を探し求めたりはしません。ノウハウとは「戦術」であり、それらはビジネス全体の「戦略」がないままに利用しても、長期的な利益に結びつくことはないということを彼らは知っているからです。
「ノウハウ」ではなく「戦略」
逆にノウハウばかりを追い求める人のビジネスには確固とした戦略がありません。
そのため、そのノウハウが効果を失ってしまえば、すぐに別のノウハウに飛びついてしまいます。そしてそれが駄目になると次へ……というように、あちらこちらへ次々に移動を重ねるのです。彼らには達成すべきビジョンがないのです。
そのため「こうすれば儲かる」という情報に踊らされ、これまで曲がりなりにも築き上げてきたビジネスとは整合性のとれないようなノウハウも導入しようとしてしまいます。あるいはそれまでのビジネスを捨てて、全く新しい「儲け話」のもとに走ってしまうようになるのです。
これではいつまで経っても安定したビジネスを構築することはできませんし、あなたが理想とする収入を得ることができません。
あなたがパソコンを使ったネットビジネスで成功したければ、まずはノウハウを追い求めるという姿勢を捨て、戦略に基づいたビジネスをつくりあげるという覚悟が必要となるのです。それはビジネスの大小にかかわらず、あらゆるネット起業家に当て嵌まることです。
それでは次に、あなたがこれからパソコンを使った事業を展開する場合、一番重要な「集客」をどうするかについて考えてみましょう。
これまで警鐘を鳴らしてきた「ノウハウ」についての話も出てきますが、無論、それらは確固としたビジネス戦略の構築が前提となっているのはいうまでもありません。
新規顧客はどう獲得する?
媒体はなるべく一つに絞る
パソコンを使ったビジネスの場合、新規顧客の獲得はどうすればよいのでしょうか?何か理想的な方法はあるのでしょうか?
これは開業したばかりの人でも、あるいは今ビジネスを成長させている段階の人でも同じです。まずは自分の得意とする媒体を一つ見つけ出すのです。
いろいろな媒体を使えばそれだけ集客がスムーズに進むものと思い込んで、様々な媒体に広告を出す人がいますが、それではどれも中途半端なまま終わってしまう可能性が高いのです。
はじめはあなたの最も馴染みのある媒体に絞って、そこに全力投球したほうが長期的にみれば効果が上がります。そしてその後に媒体を拡大していく方が簡単なのです。必ず一つに絞る必要はありませんが、あなたの費やす時間の8割以上は一つの媒体に集中した方がよいはずです。
起業家としてのアンテナ
パソコンを使ったインターネットマーケティングでは、多くの場合Googleのペイパークリック広告やバナー広告を購入したり、あるいはいわゆるプロダクトローンチといった手法を使って顧客を集める方法などが有名です。
また現在でもアフィリエイトは有効な集客ツールとなり得ますし、他の起業家と提携して相互に広告し合うという手法も考えられます。
いずれにしても、既に様々なノウハウがこれまで提示されてきましたし、工夫次第ではいかなるインターネットビジネスでも有効に機能するものが多いです。
ただし、これらはあくまでも一時的に集客効果を上げるためのものであり、長期的にビジネスを安定させる時期には別のやり方を模索した方がよいかもしれません。
見込み客の獲得は起業家にとっては常に考えなければならない課題ですから、ネット起業家は常にアンテナを張り巡らせていなければならないでしょう。
新しい手法の模索
特にネットの世界では、これまでの手法が陳腐化してしまっていることもあるので注意が必要です。即ち、従来どおりのやり方では集客に結びつけるのが困難になっている媒体もあるということです。先ほど挙げた広告手法でもそれは同じです。
たとえば、今でもアフィリエイトは様々なノウハウが紹介されているようですが、昔ほど成功することは容易ではないでしょうし、アドワーズ広告なども有効に活用するのは難しくなってきているでしょう。それは手法自体が有名になりすぎているために、広告単価などが上がっているからです。
また、販促ツールとしてフェイスブックや動画サイトなどを活用する手法も同じでしょう。数年前であれば有効な媒体として機能したものも、それがメジャーになって同じようなやり方を導入している人が大勢います。
それによってコストも高くなり、思い通りの効果をビジネスにもたらすことが非常に難しくなっているのです。見込み客になかにも、そういった手法に嫌気がさしている人も大勢いることでしょう。
しかし、それでもそういった媒体に全く効果がないというわけではありません。
ポイントは、それらをどうやって自分のビジネスに適したカタチにアレンジするかです。ほとんどの起業家は、これまでの媒体をありきたりのやり方でそのまま活用してきました。その媒体を選択すること自体に価値があると盲目的に信じ込んでいたわけです。
しかし既にスタンダードとなってしまった広告媒体を有効に活用するには、これまで通り何の工夫もなく使っていては効果を上げることができないでしょう。さらなる試行錯誤が必要であり、あなたのビジネスを見込み客に理解してもらう仕掛けが必要となります。
それはメッセージを工夫することかもしれませんし、誘導の仕方に捻りを加えることかもしれません。
いずれにしても、ビジネス上の戦略と同様に効果的に機能するまでブラッシュアップをし続けるしかないのです。
それだけ新規顧客を獲得することは重要であり、ビジネスの根幹をなすものと考えなくてはなりません。顧客から引き出せる利益が多くなれば、当然新規顧客獲得のために費やせるコストも増えるわけですから、ネット起業家は何よりもこの点を重視しなければならないのです。
まとめ
本記事では多くのパソコンを使って起業している人々が陥りがちなこととして、ひたすらに儲かるノウハウを追い求めてしまうことを挙げました。
ほとんどのビジネスにもいえることですが、何の戦略もたてないままに起業してしまうと必ず失敗します。場合によっては一時的に利益を上げることができるかもしれませんが、それは決して長続きしないのです。
一時的に名を馳せたネット起業家と呼ばれる人が、数年後には姿を消してしまっているのはそういうわけです。彼は長期にわたってビジネスを運営する戦略ではなく、短期的に儲けるノウハウだけを駆使していたのです。
あなたがもしパソコンを駆使して継続してお客さんを獲得し、確固としたビジネスを築いていきたいと望むならば、自分なりの戦略をもたなければなりません。それを磨き上げることで成功を目指すのです。単に儲かりそうだからといって、盲目的にノウハウを追い求めることはやめましょう。
0件のコメント