「起業してみたいけど、何だか心配で・・・」
「起業志望だけど、リスクが・・・」

現在起業を考えている人は、一度はこういったことを考えたことがあると思います。
独立を考えるとき、真っ先に思い浮かべるのは「この先やっていけるのか?」といった不安だというのは、どんな分野でビジネスを立ち上げるかにかかわらず同じことのようです。

そこで今回は、起業を考えるにあたって避けて通ることのできない「リスク」について考えます。

 

そもそも「リスク」とは?

リスクとは不確実性のことである

businessman

Thomas8047 / flickr

たとえば投資の世界における「リスク」というのは、簡単に言えば将来における結果の不確実性のことを指します。つまり、将来的に儲かるのか損をするのかがわからないという「不確実性の程度」がリスクということになり、投資家たちは日々この不確実性に頭を悩ませているわけです。

起業家にとっての「リスク」も同じような不確実性の度合いを指すわけですが、自らの行うビジネスの成功についての不確実性と考えて差し支えないでしょう。これをどう捉えるかによってビジネスの成否が決まるといっても過言ではありません。

そこで参考になるのが、実際に成功している起業家たちが、こういった不確実性をどのように捉え、いかに対処してきたかということでしょう。

彼らはどういう特徴があり、リスクについてどういった考え方をしてきたのでしょうか?
そして「リスクなし」の起業は可能なのでしょうか?

その質問の答えを知る上でまず注目すべきは、実は彼らの「メンタル」にあるのです。

 

起業家とメンタル

実際に成功している起業家の特徴として、打たれ強く行動力があることが挙げられます。彼らも人間ですから、当然ストレスでまいってしまうこともあるでしょう。
それでも再び立ち上がり、ビジネスの成功のために邁進し続けてきたのです。これらは起業家である以上は、必要な特質であると思われます。

なぜかといえば、自らビジネスをしていると、必ず「失敗」をするからです。どんなに優秀な人でも、思いもよらぬ失敗をしてしまうのがビジネスですから、自分のメンタルをしっかりと管理するということが非常に重要なわけです。

たとえば些か極端な例かもしれませんが、新しくアメリカ大統領となったドナルド・トランプ氏は、既に4回もの破産を経験しています。しかし、そこから何度も復活を果たし、たった数年で破産前の数倍の資産家になりました。

彼に限らず、現在活躍している起業家の多くが過去に破産を経験していたり、会社を倒産させてしまっているという事実があります。
しかし彼らは一度や二度の失敗にめげずに再び立ち上がり、成功を手にしたのです。

 

正しいリスク判断に必要なのはメンタルの強さ

いきなりですが、このように成功した起業家達の人生やビジネスに対するアプローチを分析すれば、質問の答えの一つが明らかになります。

それは残念ながら、あらゆる人が考え、定義する全てのリスクをなくすことは「不可能」ということです。リスクには自分でコントロールできるものもあれば、全くできないものもあるからです。

盲目的にリスクを恐れ、逃げ回るだけではビジネスを成功させることはできません。彼らは「コントロールすべきリスク」と「避けるべきリスク」をビジネスを実践することで理解し、両者を明確に区別してビジネスを運営してきたといえます。

両者の明確な区別や定義は人それぞれ多少違っているかもしれません。しかし彼らはビジネスを運営するなかで、数々の失敗を繰り返しながらそれを「体得」してきたのです。
無論、はじめからこれらを厳密に区別できる人は少ないでしょう。ですが、成功した起業家も失敗を繰り返しながら徐々にうまくできるようになってきたのです。

彼らはビジネスに常に付きまとう「リスク」を冷静に受け止めながら、自分なりのやり方でそれをコントロールして成功を収めたといえます。そして絶対的に避けるべきリスクは避けてきました。こういった判断力を手に入れるには、実践し続ける以外にはありません。

その背景として、失敗にもへこたれない強いメンタルが必要となるのです。

 

リスクをどう捉えるか?

蔓延する自己啓発セミナー

そもそもこの「リスク」に関しては、多くの起業志望の人々が勘違いしていることがあります。

それは「不安や恐怖をなくさなければビジネスはできない」というものです。そのため、起業のためや会社経営のためといって、様々な自己啓発プログラムを受講してみたり、スピリチュアル系のセミナーなどを受けている人もいます。

こういった人々は、何とかしてビジネスの成功ために必死に変わろうと努力をしています。自己啓発書を読み漁り、セミナーに出たりDVDを見まくったりしているのですが、残念ながら、こういったアプローチのほとんどは無駄な努力に終わってしまうのです。少なくとも起業してビジネスを始めることには、まるで役に立っていないのが実情なのです。

無論、そういった自己啓発プログラム全てに効果がないということではないのです。問題なのは、自らの責任でビジネスをしていく恐怖やリスクから逃れたいがため、あるいは苦痛を和らげたいがためにそういった「気分を高揚させる方法」にこだわってしまうことです。

どのみち起業してビジネスを始めてしまえば常に何らかの不安や恐怖は感じるものです。こういった講座やプログラムで学ぶことのできるのは、そういった不安や恐怖をコントロールすることであって、それ自体をなくしてしまうことではないのです。

 

常識に囚われてはいけない?

当然のことですが、リスクを恐れるなといってもリスクそれ自体を度外視してよいわけではありません。起業家精神に溢れた人々は、これまでになかった市場を作り上げ、誰の予想もしなかったような商品・サービスを世の中に提供しようと躍起になる場合があります。

しかし厳然たる事実として、成功している起業家のほとんどは、今現在世の中に存在している商品やサービスの提供を「他の誰よりも上手にやる」という視点で商売をしています。彼らは、それこそが本当に意味での価値の提供であることをよく知っているのです。つまり、全く未開の市場を開拓するのではなく、あくまでも競合が存在する普通の市場を選ぶわけです。

言い換えれば、既存の市場において顧客が真に満たされていない最も大きな問題点や不満点を見つけ、そのニーズを満たすわけです。どんな市場であっても、お客さんはそこに対して何らかの不満やフラストレーションを抱えているものです。それは品質なのか値段なのか、あるいはホスピタリティなのかは市場によって異なるでしょうが、それを満たすサービスを提供し始めるわけです。それによって成功を手にするのです。

 

創造性を発揮すべきなのは「手法」であって「市場そのもの」ではない

確かに、誰も開拓していないような新しい市場というのは魅力的に映るものです。しかし誰もそこでビジネスをしていないということは、お客さんにニーズがないということをも意味するのです。

どんなビジネスでも大抵誰かが既にチャレンジしているものであり、その結果、ビジネスにならなかったために市場が存在していないというのが実態であるといえます。

別に自分自身を卑下しろというわけではありませんが、私たちが思いつくようなことは、たいていの場合、もっと早い時点でより優秀な人々や先人達が考えている可能性が高いのです。その結果、うまくいかなかったために、今でも市場が存在していないと考えるのが自然ではないでしょうか?

つまり、世の中に全く存在していない市場を考え出そうとすること自体が、莫大な「リスク」なのです。ほとんどのリスクは起業家の手でマネジメントできますが、市場そのものを操ることはできません。それこそ「神の手」によるものでしょう。

無論、起業家にとって「リスクを楽しむ」という姿勢は大事です。理想的なメンタルだといってもいいでしょう。しかしだからいって、向こう見ずに市場を開拓しようとするのは避けるべきなのです。

「ビジネスは常識的なやり方では成功しない」ということが言われますが、それはあくまで手法であって、市場そのものではないということを覚えておきましょう。

 

「リスクを楽しむ」の本当の意味

ビジネスを成長させることを楽しむ

前項で起業家は既に存在する市場で勝負するべきだと述べましたが、既存市場でのビジネスのやり方にこそ起業家としての創造力が求められるともいえます。

起業家としての第一歩を踏み出そうとしている人に知っていただきたい重要なポイントは、ビジネスを成長させ利益を上げ続けるように「設計」する行為は、起業家にとって非常に楽しい行為でなければならないということです。

今ある市場で、いかに満たされていない顧客のニーズ・ウォンツを捉え、それを満たすビジネスを構築するのか。その行為を長期的に楽しんで続けることのできる起業家が、実際に成功を収めているのです。

巷には、ビジネスの成功はひたすら苦痛を耐え忍んだ先にあるものだといわんばかりの言説が沢山ありますが、それは明確に間違いであるといえます。あなたの思い描く目標に到達するためにあらゆることを我慢し続けるというのは間違いであり、そもそも不可能です。

もし起業家が自分のビジネスを義務であると考えてしまっているならば、そのような考え方で創造的なやり方を考え出すことは難しいでしょう。
そもそも、あなたが毎日こなさなければならない仕事を好きになれないというのならば、それは貴重な人生の時間をビジネスに奪われてしまっていることと同じです。

あなたが起業家あるいは起業志望の人ならば、きっとおわかりいただけると思います。
あなたはきっと理想の人生や理想のライフスタイルを求めて自分のビジネスをやりたいと考えているはずです。その手段として始めたビジネスに、あなた自身が振り回されてしまっては本末転倒でしょう。

それにそのような状態では、ビジネスで高いパフォーマンスを発揮することはできないでしょう。あなたが自分の時間を「犠牲」にして仕事をしていると考える限り、状況は好転もしませんし、創造的な手法など出てきようがないのです。

 

「楽しむ姿勢」がリスクヘッジに

しかし残念ながら、多くの起業家とされる人々がこのことを忘れてしまっています。

有り体に言えば、自分がたいして好きではない市場で、好きではない仕事をして成功しようとしているのです。創業当初の彼らの頭にあったのは「この市場は儲かるのか?」あるいは「このやり方で~儲けよう」といった類のものです。

つまり「年収」や「儲け」が先に立ち、自分が本当に楽しめるのか、ワクワクできるのかといった根本的な問題を考えていなかったのです。
「楽しむ」とか「ワクワク感」などというと陳腐な印象をもつ人もいるかもしれませんが、これこそがあらゆるビジネスに創造性を与えるものであり、パフォーマンスの源泉といえるものです。

あなたは、自分が楽しめる市場で自分の好きな仕事をしなければなりません。逆に本当はさほど興味がないにもかかわらず、儲かりそうだからといった理由で市場を選定し、巷で儲かるといわれている手法に拘泥してしまうようなことは、避けなければならないのです。

そのようなアプローチでは、長期的に利益を上げることはできません。

彼らは闇雲に行動します。ビジネスのことや、早く成果を出す方法を頻繁に考えることはありません。さらに、夢を達成するためにリスクを冒そうともしません。

 

好きなことだからこそリスクコントロールがうまくいく

実は「リスク」というのは、結果が伴わなかったり、ビジネスに失敗して多額の借金を背負ってしまうというような危険以外にも存在します。
それは、あなた自身が日々大切にしている目的に向かって生きることに関するものです。

既に述べたように、ビジネスの運営には必ず失敗が伴います。大きな挫折を経験することもあるでしょう。成功を収めた大多数の起業家や経営者のほとんどが大きな失敗を経験しているのです。挫折も数え切れないぐらいあるでしょう。

それでも彼らが立ち上がってビジネスを続けてこられたのは、自分のビジネスに本当に価値があると思っていたからです。

しかし、単に儲かるからといった理由でビジネスをしていると、一度や二度の失敗ですぐに駄目だと思ってしまいます。彼らは失敗すると「もっとうまくいく市場があるはずだ」とか「この業界は儲からない」といって、すぐに別の儲け話を探しに行ってしまいます。

同時に、とにかくビジネスからリスクを取り除こうとすることに躍起になってしまうのです。繰り返しますが、あらゆるリスクをビジネスからなくするというのは不可能であり、
リスクは何かしらのカタチで必ず付いて回ります。

はじめから100%成功が約束されたビジネスなど存在しないのです。少なくとも、あなたは自分自身でそのリスクを最小限に抑えながら、利益の上がるビジネスを自分自身で作り上げていかなければなりません。

そのために、失敗しても別のやり方を試して必ず成功させようと考えられるビジネスをしなくてはなりません。自分が楽しめる分野でビジネスを構築し、それによって経済的に豊かになることを考えましょう。あなたの提供する価値は、あなたの好きなこと、得意なことのなかに眠っているのです。

 

「リスク」を極力減らす起業術

重要事項に集中して投資する

それではなるべくリスクを抑えながら起業するためには、どういう考え方をすればよいのでしょうか?

巷には「リスクゼロで○○万円!」や「無リスクで年収××万円」といった売り文句でビジネスノウハウを販売しているものが沢山あります。しかし繰り返しになりますが、全くリスクゼロでの起業など、まず不可能なのです。

それはどんなビジネスであっても、全く事前の投資が必要ないというもの存在しないからであり、始めに資金がかからなかったとしても、ビジネスを継続させるうえでどうしてもコストがかかってくるからです。

たとえば職種によっては、パソコン一台あればビジネスができるという人がいますが、実際はサーバー費用やドメイン関連の費用、あるいは当然回線費などがかかります。無論、この程度なら大した額ではありませんが、初期投資としてかからなくても、ビジネスを発展させる過程でどんどんコストがかかってしまうのがビジネスなのです。

それに多くの人が考えていないことですが、自らの「時間」も「コスト」です。あなたの貴重な時間を投資してビジネスをするわけですから、結果的に失敗してしまえば、そこまで費やしたあなたの時間が無駄になってしまいます。

ある意味、このリスクが一番大きいといえるのではないでしょうか?

ただし、既にもっている経営資産を有効活用して起業するというアプローチは有効でしょう。むしろ、ほとんどの成功している起業家が手持ちの資産からビジネスを育てて収益を上げているのです。

ポイントは「重要事項に集中投資する」ということです。つまり、あなたのもつ限られた経営資源、時間をビジネスにとって最も重要な事柄に集中させるということです。

 

ビジネスの生命線は「販売(セールス)」

これは驚くべきことなのですが、いまだに起業家のなかには会社を作ってビジネスを始めると決意した瞬間に、事務所にする不動産を探し始める人がいます。あるいは、自分の仕事部屋を彩るための高級ソファなどを探し始める人が実際にいるのです。

これは明らかに間違ったアプローチであり、自ら余計なリスクを抱え込んでいるようなものです。
特にビジネスの初期段階では、最も重要な事項に時間とお金をかけなければいけません。そうしなければ、すぐにビジネスが破綻してしまいます。

それではその重要事項とは何でしょうか?
それはズバリ「販売(セールス)」です。ビジネスにとって一番重要なのは継続的にお客さんから商品・サービスを買ってもらうことです。

商売の基本といえばそれまでですが、まずはあなたの扱おうとしている商品・サービスの販売活動こそが、ビジネス初期段階で最も力を入れるべき事柄です。販売方法の検証なども必要でしょう。こういった重要事項にこそ資金と時間を投資しなければならないのです。

そしてほとんどの場合、はじめの計画通りビジネスが進行することはありません。潜在顧客の分析に間違いがあったり、そもそもターゲットとすべき顧客層を錯覚していたり、あるいは商品コンセプトそのものが間違っていたりするのがビジネスというものです。

そういう失敗を重ねながら、徐々に軌道修正して継続的に収益の上がるビジネスを構築していくのが普通です。ですから、そういった軌道修正に耐えられるだけの資金は常に残しておかなければいけません。余計なことに資金を浪費する余裕などないのです。

 

副業を発展させるのもアリ

これまで本当の意味で「リスクゼロ」のビジネスなど存在しないと述べてきましたが、起業家がリスクを恐れること自体はむしろ歓迎すべき資質です。

巷には成功した起業家の自叙伝のような書籍がたくさんあり、そういった「物語」で語られる起業家は、誰も彼もがリスクを恐れずに勇猛果敢に突き進んできたかのように描かれています。

しかし実際には、周到にリスクをコントロールしながら慎重にビジネスの管理をしています。よく「小さく始めて大きく育てる」のが商売の極意だということが言われますが、まさに彼らは、なるべくリスクを避けながら徐々にビジネスを大きくしてきたのです。

たとえば、あのビル・ゲイツがビジネスで失敗してもリカバリーできるように、大学に籍を残したままマイクロソフトを起業していたという事実を知っている人はあまりいません。
ナイキの創業者のフィル・ナイトは本業の合間にスニーカーのセールス事業を開始し、最終的には世界的な企業にまで育て上げたのです。まさに「小さく始めて大きく育てた」わけです。

特にフィルのように、本業をキープしたまま空いた時間で自分の好きなビジネスを成長させていくというアプローチは有効だと思います。
人によっては「副業」に対して冷ややかな目を向ける人もいますが、まずは自分なりの規模でビジネスがうまくいくかを検証することは非常に重要です。

起業それ自体のリスクをゼロにすることはできませんが、あなたの今現在の状態に見合った方法でビジネスを始めることも有効なアプローチなのです。リスクはあなた自身がコントロールしなくてはならないのですから、起業の方法やタイミングは冷静に見極めるべきでしょう。

 

まとめ

これまで「起業」と「リスク」の考え方について述べてきましたが、人によってリスクの定義も感じ方も違っているものです。

ですから、まずはあなた自身にとってリスクとは具体的に何を指すのかを明確にすべきでしょう。そしてその考え方が、実際に起業するにあたって有効に機能するのかどうか自問してみてください。リスクを恐れすぎてもいけませんし、軽視してもいけません。

起業家によっても考え方は様々で、それがビジネスのやり方に如実に反映されていることも少なくありません。しかし実際に成功している起業家は、巧みにリスクをコントロールしているといっていいでしょう。

これは永遠のテーマといっていいほど難しい概念ですが、あなたも一度自分なりの回答を出して満足するのではなく、継続的に考えてみてください。
リスクコントロールこそが、ビジネスにおける起業家の最も重要な仕事なのですから。


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新卒で入った会社をわずか1週間で辞め、個人事業主として生きています。メディア運営の知識やノウハウを最大限発信していきます。

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