「仕事で成長し続けたい!」と重いながら日々の業務に勤しんでいるビジネスパーソンはたくさんいることでしょう。
しかし同じ業務をしていても人によって生産性の面で違いが出てくることもありますし、実際に結果を残せる人と残せない人がいることが多いはずです。

本記事ではその理由として、特に「失敗」についての考え方と「先延ばし」ついて述べたいと思います。この2つについての考え方こそが、仕事で成長する人とそうでない人とを分ける決定的に重要な差といえるのです。

 

「失敗」の本質を知り、そこから学ぶ

「失敗」にも種類がある

Error

あなたがたとえ仕事で成長し続けたいと思っていたとしても、何らかの失敗をしてしまうことは避けられないでしょう。
特にこれまで経験がなかったような仕事でへまをしてしまったり、積極的に行動したにも拘(かかわ)らず上手くいかなかったりすれば、どんな人でも落ち込んでしまうものです。

しかし仕事で成長を続ける人は失敗から常に学びを得ることができ、確実に次の仕事に活かすことができる人でしょう。これは多くの人が知っていることとだと思いますし、そのために強いメンタルを手に入れたいと思っているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか?

事実、仕事における「失敗」への対処の仕方が成長する人となかなか成長に繋がらない人の差となってあらわれてくるのですが、重要なのは一口に「失敗」といってもその性質によって適切な対処の方法が違ってくるということです。

ここを間違えてしまうと、不必要に落ち込んでしまったりリスクに対して極端に恐れるようになってしまいます。それが長い目で見れば、仕事の生産性の面で大きな差に繋がってきてしまうのです。

 

「エラー」と「フォールト」の違いを知る

失敗

このことについて、かつてスポーツ心理学者の児玉光雄氏は、あのイチロー選手についてその成功法則を研究した著書『イチローに学ぶ「天才」と言われる人間の共通点』のなかで「失敗」について以下のように述べていました。

『日本人は失敗を避ける国民である。日本語で表現すると、過失と失敗の違いはそれほど明白ではない。英語に訳すと、過失はエラーで、失敗はフォールトとなる。
エラーとフォールトは根本的に違う。野球で言うなら、うっかり気を抜いて牽制球で制されるのがエラーであり、完璧なフォームで打った右中間の長打コースのボールをライトにファインプレーされればフォールトとなる。』

(児玉光雄『イチローに学ぶ「天才」と言われる人間の共通点』(文庫版),河出書房新社,105頁)

 

日本人全体が失敗を避ける傾向にあるかどうかは議論の余地はあるかもしれませんが、児玉氏は一口に「失敗」といっても「エラー」と「フォールト」という明確な違いがあると述べています。そして、それぞれに適切な対処の仕方があるのです。

 

「過失」は誰にでもある。必要以上に落ち込まない

悲しい

野球でいう「エラー(過失)」については、ある意味人間である以上は完全に避けて通ることはできないものでしょう。私たちの仕事においても不注意で大事なデータを消してしまったり、取引先に迷惑をかけてしまうこともないとはいえません。

これに関しては再発防止策を自分なりに考え、必要以上に落ち込まないことです。単純に不注意であったならば、集中が切れづらい時間帯にそのタスクをこなすように調整するなどして、ある程度は機械的に処理してしまって問題はありません。

というのも、こういう類の失敗はいくら事前に対応を万全にしていたとしても、いつかは何かのかたちで必ずしてしまうものだからです。よく言われる「失敗しない人間などいない」というのは、言い換えれば「エラーをしない人間はいない」ということなのです。

 

「失敗(フォールト)」は原因を分析し次に活かす

もう一つは児玉氏が「フォールト」としている失敗についてです。実は仕事で成長するためには、こちらの失敗についての考え方を積極的に変えていく必要があるでしょう。なぜならば、あなたなりに最善を尽くして上手くいかなかったとしても、それを次に活かすことによって成長が促されるからです。

この失敗(フォールト)をそのままにする人と、上手くいかなかった原因をしっかりと自分なりに分析して次に繋げる人との違いこそが、長期的にみれば仕事での成長に顕われてくる部分なのです。

この手の失敗については、思い通りの結果が出なかったとしても必ず自分にとって有益なフィードバックが得られるものです。ですから、本来この類の失敗で「あなたが落ち込む必要などまったくない」わけです。成功しても上手くいかなくても、あなたにとっての成長に繋がるのですから、常に学ぶ機会を得たと思うようにしましょう。

 

リスクを恐れるな

businessman
Mish Sukharev / flickr

このように、私たちが一般的に「失敗」というものには「合理的に対処すればよいもの」と「それを重要な学びとして活かせる」ものがあるのです。

これらを混同してしまって恐れてばかりいると、気持ちがどんどんマイナスの方向に向いていってしまいます。行動も消極的になり、常にリスクばかりに目が行くようになってしまうのです。その結果「自分は仕事ができない」とか「成長できない」と思い込んでしまうようになります。これではいけません。

時には「過失」を咎められることもあるでしょう。しかしどんな人間にも過失はありますから、同じ過ちを繰り返さないことに意識を向けましょう。そして最善を尽くしても上手くいかなかったような失敗に関しては、ぜひリスクをとってトライ&エラーを繰り返してみてください。

仕事で確実に成長していく人間は、必ずある程度のリスクを背負いながら積極的に行動する人なのです。

 

「明日はもっとできる!」は危険?

「先延ばし」は仕事での成長を妨げる

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仕事で失敗をしてしまうことは誰しもあることですが、たとえ上司から叱られたり同僚から窘(たしなめ)られたりしなかったとしても、自分で思い描いたように仕事が捗らなかったり、何らかの壁にぶつかってしまうこともあります。

特に、つい怠け心が出てしまったり他の事に集中してしまって自分で立てた目標に届かなかったとき、私たちはつい「あとで取り返せるから平気だろう」と思ってしまったりするものです。このように「今日はできなかったけれど、明日挽回すればいい」と自分に言い聞かせた経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

しかしこの考え方には問題があります。仕事を通じて成長したいとあなたが考えているのならば、こういった考え方の落とし穴に気づく必要があるのです。

 

私たちは「ツケ」をしっかりと払っているのか?

たとえば、本来ならば今日中に終わらせようと思っていたタスクが未完のままになっていて、それを翌日に回してしまった場合、私たちは次の日にしっかりと挽回しているのでしょうか?

あなたも思い当たるふしがあれば、その翌日の自分自身の行動を思い出してみてください。自分でやるとあなた自身に誓ったことを間違いなく完遂していたでしょうか?
それとも結局、次の日も未完のまま「また明日やろう」と無意識のうちに決めてしまっていませんでしたか?

もっとも、仕事で必ずその日に終わらせなければならないとか明確にデッドラインが決まっているタスクならば、誰しも期限内に終わらせようとするでしょう。社会人としてそれは最低限のことだからです。

そうではなくて、あなた自身が仕事で重要だと思っている諸々の作業や自分で価値ありと認めた仕事について、あなたは「自分への責任」を果たしているのかということです。
そういった自分なりに立てた目標ほど、仕事で成長を続けるうえで必要とされることなのです。

 

人間は「明日は今日より簡単にできる」と思い込む癖がある

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しかし残念ながら、多くの人が「明日やろう」と決めたことを、実際に次の日に完遂できていないことがわかっています。まるで子供の頃の夏休みの宿題のように、いつまでもやらずに次の日へ次の日へと先送りにしてしまっているのです。

実は、これは単純に私たちのなかの怠け心が頭をもたげてきたという月並みな理由だけでなく、私たち自身の将来に対する考え方にも原因があります。

全米でベストセラーとなったスタンフォード大学教授の心理学者ケリー・マクゴニガルの著書『スタンフォードの自分を変える教室』には、そのことが分かりやすく説明されています。

『私たちは先のことを楽観視してしまうせいで、やるべきことがあってもあとでやろうと思うだけでなく、あとになればかんたんにできると思いがちです。心理学者らの研究によって、私たちは今日よりもあとのほうが自由な時間があるはずだという、まちがった予想をすることがわかりました。』

(ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』,大和書房,148~149頁)

 

明日は今日より生産性が高い?

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同著では、この事例としていわゆる「エクササイズ器具」を購入した消費者が、実際にそれをどのぐらいの頻度で使っているかについて調査した結果が述べられています。

結果は、9割以上もの人が器具を継続的に利用しておらず、彼らの器具は地下室で埃だらけになっていたといいます。
しかしそれにも拘(かかわ)らず、器具の購入者達は「来月は一週間に○○回はエクササイズをする」と述べていたのです。当然、これは彼らにとっての「理想」を述べたものでしかありませんでした。まさに「絵に描いた餅」だったわけです。

このように私たちは今この瞬間にやりたくないことでも、きっと明日になれば気力も充実していて今日よりもうまくこなせるだろうと思い込んでしまう癖があります。明日も同じように何かの理由で疲れきっていて、集中できないような状態になってしまう可能性については全くといっていいほど考えないわけです。

 

「緊急ではないが重要なこと」を先延ばしにしない

スティーブン・R・コヴィーの名著『7つの習慣』で述べられているように、私たちの仕事や人生全般においても大事なのは「決して緊急を要することではないけれど、重要な事柄」を日々こなしていくことです。

 

仕事における成長のほとんどは、このカテゴリに属する行動によってもたらされるといっても過言ではないでしょう。それは他者から強制されるようなことではなく、自分なりに設定した目標であることがほとんどです。

しかし上述のように、このカテゴリに当て嵌まる活動ほど私たちの「先延ばし癖」の影響を受けてしまいがちです。「明日はきっと」という魔法の言葉によって、私たちの仕事や場合によっては人生の大事な目的のための活動が疎かにしてしまいがちなのです。

こういった私たち自身の「考え方の癖」を理解し、自分にとって必要な仕事を先延ばしにしないような施策を自分なりに考えてみましょう。
重要事項を先にスケジュールに組み込んでみてもいいでしょうし、最も集中できる時間帯に重要な仕事ができるように出勤時間を変えてみてもいいかもしれません。

こういった小さな工夫の積み上げが、長い目で見れば仕事での成長に繋がってくるのです。

 

まとめ

仕事における成長というテーマで、特に「失敗」についての考え方と「先延ばし」という点から、成長できる人とできない人の違いについてみてきました。
「失敗」についてはその性質をよく理解し、適切な対処をすることによって成長に繋げることができます。

そして私たちは重要事項ほど「先延ばし」にしてしまう癖があることを知っておきましょう。思うように仕事の成果が得られないという人は、日頃自分にとって重要な仕事を明日に持ち越してしまっていないかよく確認してみてください。

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