あなたは仕事の効率がよいと褒められたことはありますか? それとも効率の悪さを咎められたことはあるでしょうか?
実際、職場には同じ時間にもかかわらず、他の人よりも明らかに高い生産性をもっている人がいるものです。
そういった人々は、決められた期間内に大量のアウトプットを出すこともできますし、余計な残業もすることがありません。
あなたがそういった質の高い仕事のできる人ならばよいのかもしれませんが、多くの人は自分の仕事の効率について大なり小なり改善したいと思っているものです。
そこで今回は、あなたの仕事から効率を奪うものを排除し、高い生産性を維持するための施策として、代表的なものを3つ紹介します。
施策1:明確な目標設定
戦略的に目標を設定する
仕事の効率を劇的に改善させる第一の施策は「戦略的に目標を設定すること」です。
仕事の長期目標を設定し、その後に1~2週間程度の具体的な短期目標を設定すれば、それに向かって誘導弾のように自分を動かすことができるようになります。
無論、多少の寄り道や脱線はあると思いますが、常日頃から目標の管理さえしておけば、その都度軌道修正をしながら目的地に辿り着きやすくなるのです。
これは本当に単純なことなのですが、驚くべきほど多くの社会人が、程度の差はあれ目標の設定を怠っているために、行き当りばったりの仕事をしてしまっています。
しかし仕事の効率を上げ、高いパフォーマンスを維持し続けたいのであれば、きちんと目標を設定しなければなりません。
無論、目標設定の内容自体はビジネスによって異なるでしょう。
あなたがマーケターであるのか、あるいは営業職なのか、それともインターネット起業家なのか・・・その仕事分野と職種によって適切な目標設定の仕方は変わってくるでしょう。
しかしあなたがどういうビジネスをしていようと、どういう役職に就いていようと、どれほどの社会人経験があろうと、あらゆるビジネスパーソンが戦略的な目標設定を行うために基準となる考え方があります。
それは、あなたの設定した目標への道のりを最小限にすることです。つまり、目標までの最短ルートを常に意識せよということなのです。
言い換えれば、そのルートを考えることこそが「戦略的」という意味であり、あなたの仕事の効率を劇的に向上させるための核となる考え方だといえます。
仕事の効率が悪いとか、うまく仕事を捌くことができないと嘆くたくさんのビジネスパーソンが、目標までの間に余計なステップを設けてしまっています。
たとえば、冷静に最短ルートを導き出せばたった3ステップ程度で達成できる目標に、10や20ものステップを設けてしまっているのです。
その結果、いくら仕事の時間を増やしても時間が足りず、あなたの集中力と生産性がどんどん浪費されてしまうことになります。
さらにはその余計なステップを消化する途中でも、次から次へとイレギュラーな事態が起こり、あなたはますます集中力が散漫になってしまうでしょう。人間は余計な心配事が増えると集中を切らしやすくなるのです。
ですから、まずは長期的目標をしっかりと定め、それに至るまでの最短ルートはどういうものかを冷静に考えなければなりません。
それこそが、あなたを本当に重要な仕事に向かわせてくれる唯一にして絶対の方法といっても過言ではないのです。
緻密すぎる目標設定に注意
ただし、目標を設定するうえで注意しなければならないこともあります。
それは自分自身の許容量を超えて、あまりにも詳細で緻密な計画を立ててしまうことです。
あなたは、自分の立てた「行動リスト」があまりにも細かすぎて辟易してしまった経験はないでしょうか?あるいは「やるべきこと」を逐一付箋に書き込んで大量に机に貼り付けてしまった結果、どの作業をどういう順番でやればよいのか、全くわからなくなってしまった経験はありませんか?
一度冷静に自分の仕事を振り返ってみましょう。
もしそのような経験があるならば、あなたは長期的目標を達成するために「本当に重要な仕事」を追求するのではなく、たくさんのパフォーマンスの低い作業を追及することに躍起になっているのかもしれません。
あまりにも完璧で緻密な計画を立ててしまったばかりに、いつの間にか長期目標にそぐわない作業に没頭してしまっていることがありませんでしたか?
もしそういう経験があるならば、あなたは途中から目標を見誤ってしまったのであり、その結果として仕事の効率が一気に落ち込んでしまったわけです。
これでは前項で述べた目標達成に無意味なステップを設けてしまっている状態と変わりがありません。
私たちは定期的に長期目標を確認しなければ、つい「今目の前にあること」に没頭してしまいがちです。
特に真面目な人は「他に何ができるだろうか?」と考えるあまり、いつの間にか長期目標に至るまでの最短ルートからどんどん外れていってしまうことが多いので注意が必要です。
仕事の効率を上げ継続的に目標を達成していくには、あなたは常に戦略的でなければなりません。戦略的に仕事をする人は「今自分が必ず達成しなければならない最低限度のものは何か?」と自問します。
そうすることで、長期目標への最短ルートを維持しようとするのです。そうしなければ、いつの間にか余計なステップを設定してしまうことを、戦略的に仕事をこなせる人はよく知っているのです。
私たちは、ともすると長期目標にそぐわない不適切な目標を設定してしまうという「落し穴」にはまってしまうことを覚えておきましょう。
施策2:完璧主義にはまらない
完璧を追い求めるのはナンセンス
仕事の効率を上げる2つ目の施策は「完璧主義からの脱却」です。
あなたは自分の仕事の精度が気になりすぎてしまったり、プロジェクトの抱えるリスクをゼロにするために、細かい部分に気を回しすぎたりしていませんか?
もしあなたがWEB制作者ならば、デザインしたWEBサイトの構成にこだわりすぎてしまって、本当に重要な仕事が疎かになっているかもしれません。あるいはあなたがコピーライターだったとすれば、一つのセールスコピーに拘泥しすぎて一番重要なテストリリースについて忘れてしまっている可能性もあります。
もしそういった状態に陥っているならば、あなたは完璧主義であるというだけで自らの仕事の勢いを削いでしまっているということに気づかなければなりません。
施策1でも述べたように、そういう人は仕事の目標を立てるうえでも色々と細かく設定しすぎてしまいがちです。しかし残念ながらその結果は、既に説明した通りです。
完璧主義は決して仕事の効率を上げるものではなく、あなたからエネルギーを奪い尽くしてしまう敵なのです。几帳面で責任感の強い人ほど完璧主義に陥りやすいといわれていますので、注意が必要です。
パレートの法則を意識する
有名な「パレートの法則」は、あらゆるビジネス分野に当て嵌まる「真実」であるといえます。
これはたった20%の要素が、全体における80%のパフォーマンスを決定するという主旨の法則ですが、これは逆に言えば、残りの80%について追求を重ねても生産性は20%も向上しないということです。完璧主義に陥ってしまいがちな人は、定期的にこの法則を思い出してみましょう。
そして「今重要な20%は何か?」と自問してみるのです。
これを意識するだけで、あなたの仕事の効率は一気に向上するでしょう。
あなたがもし100点満点を目指して仕事をしているならば、今すぐその考え方をやめなければなりません。ほとんどの仕事では、100点の仕事を1つ成し遂げるよりも、80点のものを5つ成し遂げたほうが長期的にみれば明らかにプラスになるのです。
あらゆる手を尽くして満点を目指すのではなく、思い切って瑣末な部分を捨てることで、全体の生産性に影響する重要な仕事に特化するようにしましょう。
施策3:マルチタスクをする時間を減らす
マルチタスクは有効か?
3つ目の施策は「マルチタスク」に関するものです。
結論から言えば、マルチタスクはあなたの仕事の効率を大幅に減退させてしまう原因となります。
もともとは「マルチタスキング」もしくは「マルチプロセス」というコンピュータ用語であり、PC上で同時に複数のプログラムを走らせることを意味する概念です。
それが派生して私たち人間が同時に複数の行動をすることを指すようになり、多くのビジネスパーソンが日常的に使う言葉にまでなったわけです。
現代では脳の構造などによって、もともとマルチタスクが得意な人と苦手な人が歴然と分かれているということもいわれますが、重要なのは、生来的にマルチタスクが得意かどうかに関係なく、マルチタスキング自体が仕事から効率を奪ってしまう元凶となりうるということです。
事実、一度ある作業から離れて別の作業に入ってしまうと、再び元の作業に戻ったときに
私たちは、つい仕事中にワードアプリで文章を作成しながら報告を聞いたり、電話を受けながらEメールをチェックしたりしてしまいます。
この程度の作業の重複ならばさほど問題にならないかもしれませんが、データ分析とレポートの作成をマルチタスクで行ったり、重要な資料を読み込みながらプレゼン資料を作成するといったような仕事の仕方は、あなたの生産性を著しく阻害してしまいます。
これはコンピュータにも同様にいえることで、実際、コンピュータも厳密には一度にたった一つの指示しか実行することができないのだそうです。
しかしその処理が非常に早いために、まるでマルチタスクをしているかのように見えているだけというのが実態です。
人間の脳も「クラッシュ」する
コンピュータと同じように、本来は私たちの脳も同時に複数の作業を完璧にこなせるようにはできていません。
事実、マルチタスクをすることで仕事のミスが何倍にもなるという研究結果もありますし、集中力が散漫になり、些細なことでも集中を切らしてしまうようになるという報告もあるのです。
私たちの脳も、まさにパソコンのプログラムに同時に大量の指示を与えたために、CPUに負荷がかかりすぎているのと同じような状態になるのです。
それが行き過ぎると「クラッシュ」してしまい、仕事の効率がどんどん悪くなっていってしまうわけです。
マルチタスクは、私たちの集中と注目に最も直接影響を及ぼす、破壊的な行動の一つなのです。もしあなたもこれができるという幻想を持っているなら、、今すぐやめてください。
まとめ
これまで「明確な目標設定」「完璧主義からの脱却」「マルチタスクを避ける」という3つの施策についてみてきました。
どれも仕事の効率を考えるうえで、欠かすことのできない重要なものです。
仕事において重要なのは、限られた時間でいかに質の高いアウトプットを出せるかということであり、いずれの施策もあなたのパフォーマンスに直接的に関わってくるものばかりなのです。
いきなり全てを実践するのは難しいとしても、ぜひとも一度あなたの仕事のやり方を冷静に俯瞰したうえで、できるところから取り入れてもらいたいと思います。
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