あなたは「一人旅」に興味があるでしょうか?

本記事は「旅」をテーマにしますが、旅の方法や準備についての情報は様々な書籍やWEBサイトから得ることができますから、ここでは特に「一人旅がもたらす効果」についてフォーカスしたいと思います。特に「価値観」と「旅」の関係について注目してみてみましょう。

何度も旅に出たことがある人も、これまで一度も海外旅行をしたことのない人もいると思いますが、ぜひ一人旅について思いを巡らせてみてください。

 

自分なりの「テーマ」を持とう

楽しめる人とどこか満たされない人の違いとは?

一人旅

「一人旅で人生が変わった」とか「生き方を変えることができた」といった声は、少し旅に関する書籍やWEBサイトなどを調べてみると、すぐに「体験者の声」として見つけることができるでしょう。もしかすると、あなたも実際に一人旅で人生を変えることができた一人かもしれません。

しかし、そういった人がいる一方で、いくら旅をしてみても「いまひとつ満たされなかった」とか「結局あまり面白くなかった」と感じてしまう人が最近増えているといいます。
この違いはどこにあるのでしょう?

明確な答えは人それぞれ違っていると思いますが、答えの一例として、そういう人は単純に旅をするだけが目的化していて、その旅で「何を得たいのか?」「何を成し遂げたいのか?」が明確になっていないことが挙げられます。

つまり一人旅に「~を見たい」とか「~を食べたい」といった程度の浅い目標しかなく、自分なりのテーマや旅の経験を通じて何を感じたいのかといった深い目的まで考えないまま、たんに街を観光して終わってしまっているケースが多いのではないでしょうか?

逆に、自分ならではの視点やオリジナルなテーマをもてば、たとえ一人旅であってもずっと面白いものになるでしょう。いわゆる「旅のプロ」のなかには自分なりのテーマを設けることによって、旅に出るごとに新しい発見やアイデアを得ている人が大勢いるのです。

 

自分なりにテーマを考えてみる

写真

たとえばレバレッジシリーズや「デュアルライフ」の提唱で有名な、作家でコンサルタントの本田直之さんは、その著書『TraveLife(トラベルライフ)』のなかで以下のように述べています。

『たとえば、ヨーロッパで単なる食の旅をするだけでなく、そこで活躍している日本人に注目するというオリジナルなテーマを設けたことで、「なぜ日本人シェフは世界で勝負できたのか」という本が生まれた。「北欧を旅したいな」と思ったとき、「単に旅するだけではもったいない」と北欧の幸福度の高さについて調べ、その理由を現地の人へのインタビューによって模索することで、「LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』という本を書き上げた』

(本田直之『TraveLife クリエイティブに生きるために旅から学んだ35の大切なこと』 マガジンハウス 2015 91頁)

このように、たんに旅をするだけでなく自分なりのテーマをしっかりと掲げて旅をすることによって、自分の仕事に有効な発想やビジネスのヒントを得られるかもしれないのです。特に本田さんのように積極的に周囲に働きかけることで、自分でも予想していなかったような思わぬ「副産物」がもたらされるかもしれません。

 

価値観明確化ために一人旅は有効?

「価値観」は人間にとって極めて重要

価値観

一人旅によってもたらされるものとして、ほとんどの人は「そこでしか得られない貴重な体験」とか「旅先で出会った人との友情」といったことを挙げると思います。

それはそれで重要なことだと思いますが、一人旅がもたらしてくれる最も大きな効用として「自分の価値観が明確になる」ということがあります。これまで漠然として自分でもよく理解できていなかった「大切にしたい考え方」や信念が明らかになるのです。

特に現代人は「価値観」が多様な社会に生きているために、自分なりに確固とした信念や価値観を持てずにいるともいわれています。そのため、自分にとって本当は重要ではないようなことに時間を割いてしまったりしているのです。これは非常にもったいないことでしょう。情報化社会の弊害ともいえると思います。

あなた自身が重要視している「考え方」や「目指すもの」は何でしょうか?こういった質問に即答できるでしょうか?

このような、あなた自身の行動の礎となる考え方の源が「価値観」といわれるものです。人間は自分の価値観に反するものを拒絶する傾向がありますし、それが奪われそうになると必死で抵抗しようとする生き物です。それだけ価値観というものは、私たちの人生にとって重要なものなのです。

 

一人旅が私たちの「価値観」を再認識させてくれる

Traveler

自分自身の価値観が明確になれば、人生のいろいろな場面で自分がどう振舞うべきかが明らかになりますし、どういう人生を歩むべきかが、自分のなかで「しっくり」来るようになるでしょう。

逆に価値観が曖昧なままだと、特に目的もなく毎日を過ごしてしまうようになりかねません。自分の価値観を反映した生き方をしているつもりが、いつの間にか他人の価値観の影響下で生きてしまっているという人が世の中には大勢いるのです。

そのような状態から抜け出して、自分が本当に大切にしたい価値観のもとで生きていきたいと考える人は沢山いるでしょう。一人旅はそのきっかけを与えてくれますし、私たちの価値観の再認識にとても効果があります。

なぜならば、自分の価値観を知るうえでは自分自身と徹底的に向き合わなければならないのですが、慣れ親しんだ生活から離れてこれまでと違った環境に適応することを強制される一人旅は、否が応にもそういった状況に身を置くことが必要となるからです。

 

重要なことに意識を集中させる

読書

これは非常に重要なことで、人間は自らが大切にしているルールや考え方に対して、一定の期間「意識」を集中させなければ、それが本当に重要なことかどうかを判断することはできないのです。

特に他人の考え方や言動に流されてしまう人は、自分の本当に大切にしたい「価値」に意識が向いていないことがほとんどです。それによって自分の価値観にも「ブレ」が生じてきてしまうわけです。

一人旅は基本的に孤独なものですから、他人の余計な価値観から一定の距離を置くことができ、自分自身と向き合うことを余儀なくされる場面が当たり前のように訪れます。

日常生活では一定の時間をとって自分の考え方や信念に意識を集中させようとすと試みる人はそれほど多くはないでしょうが、そういう人でも一人で旅をすることによって、自然と自分の考え方に意識が向くようになるのです。

忙しい現代人は定期的に自分の価値観に意識を向ける時間を作り出すことは困難でしょう。しかし旅をすることによって、その環境が容易に実現できてしまうわけです。この時間こそが一人旅の醍醐味といっても過言ではありません。

 

一人旅による「ビジョンクエスト」のススメ

「ビジョンクエスト」が密かに流行している?

実は、これまで述べてきたことと似たような効果をもたらそうという試みは、既にアメリカをはじめ多くの国々で採用され始めています。その代表例が「ビジョンクエスト」といわれるものです。これは自らの価値観だけでなく「人生の目的」といった自分のなかの壮大なテーマについて考えるきっかけを与えてくれるものです。

元々アメリカ先住民の部族儀式であり、たとえばスー族と呼ばれる民族の間では、思春期の年齢に至った若者や何かしらの問題を抱えた者が林木が生い茂った深い森に入りたった一人で断食などを行うことで、自らの将来に関わる啓示を得ることが慣例となっています。

この儀式からヒントを得て、たとえば成功を目指す起業家や自分自身を改革したい経営者達が「目標の先にある(人生の)目的や理想」について、深い森に入ってじっと考えるという「クエスト」がアメリカを中心に密かに流行しているのです。特にビジョンクエスト専門のツアーを企画している企業もあるといいます。

さすがに断食などの苦行を行ったりはしませんが、誰にも邪魔をされない森で木々や鳥の鳴き声に囲まれながら「自分の人生にとって何が大切か?」とか「人生で何を成し遂げたいのか?」あるいは「人生にとっての真の目的」についてじっくりと考えるわけです。

これは非常に効果のある方法とされており、このビジョンクエストによって新しい人生の一歩を踏み出すことを決断した人もいますし、自分の会社にとって何が最も大切なのかを思い出した人もいるそうです。

 

旅による「ビジョンクエスト」

これは非常に壮大なやり方で、ある意味大げさに感じられるかもしれません。ですが、どういう方法であるにせよ、私たちは人生を通じて成し遂げたいことを明確にしてそれに応じて日々の行動の指針を設定することは非常に重要なことではないでしょうか?

このように「自分自身としっかり向き合う」ことにより、自分にとって本当に大事なものは何か?どんな価値観を大切にしたいのかを明らかにすることができるでしょう。日々忙しく動き回っている私たちにこそ重要なことと言えるかもしれません。

事実、こういった方法をとることで、めまぐるしく目の前を飛び交う情報の盲目的なインプットを避けることができますし、それによって本来自分の価値観に合わないような行動に時間を取られてしまうようなこともなくなっていきます。効率的な時間管理を考えるうえでも非常に有効な方法といえます。

そして重要なことは、わざわざ深い森に一人きりで長時間入り込まなくても、一人旅をすることができる人は同じような効果を得ることができるということです。
旅先でちょっとした雑木林に入ってみてもよいでしょうし、景色のよい丘に腰掛けてじっくり考えを巡らせるのもよいでしょう。

一人旅なのですから、誰に気兼ねする必要もないのです。旅先の空気を存分に生かして自分なりの「ビジョンクエスト」を満喫しましょう。

 

一人旅によって「日本」のことが好きになる

「素晴らしさ」も慣れてしまうと何も感じなくなる

japan

あなたがもし一度も日本から出たことがないのならば、思い切って海外旅行に出掛けてみることによって、より自分の国である「日本」が好きになるかもしれません。

頻繁に旅に出る人は、その度に外部の視点から自分のこれまでの生活を見つめなおすことができるようになります。変化のないルーティンが繰り返される日常で凝り固まったモノの見方や感じ方をリフレッシュすることができるようになるからです。それによって日常にも感謝できるようになるのです。

特に日本は、国家として世界で一番歴史の長い国です。さらに日本ほど安全で便利なものが溢れている国はないとまで言われているのです。事実、夜に道を歩いていても危険を感じることなどほとんどありませんし、都心であっても適度な自然に恵まれています。生活の快適さでいえば世界一と豪語してもよいほどでしょう。

しかしその環境に慣れきってしまっている私たち日本人は、それがあまりにも「当たり前」であるために、その価値を普段から感じることはほとんどないのではありませんか?

たとえばロサンゼルスに長い間住んでいる人は、いつの間にか目の前にある広大な海に感動することがなくなってしまうそうです。素晴らしい自然が広がっているニュージーランドの人は自然の素晴らしさに心から感謝することはなくなり、ハワイに長年住んでいる人のなかには「毎日が退屈でつまらない」と言っている人も実際にいるそうです。

どれほど素晴らしい環境であったとしても、それが日常になり長い年月が経ってしまうと、いつの間にかその有難さや素晴らしさを忘れてしまうのです。
ですから、そういった私たちの「鈍ってしまった感性」を、一人旅によってリセットすることが重要だと思います。

 

日本の良さも旅をすることで再認識できる

イチョウ

hirotomo t / flickr

近年では、日米戦争の敗戦によってもたらされた、いわゆる「自虐教育」が見直され始めています。

多くの人が「日本は他国に比べて~が遅れている」とか「日本は~がダメだ」といった考え方から、「日本のココがスゴイ!」とか「日本人の本来もっている精神性は素晴らしい」といった自分たちの誇るべき歴史や文化について目を向けはじめているのです。

そんな日本のよさを知るには、やはり一度日本を離れて旅をしてみることがとても有効でしょう。違った視点から自国を見つめることの有効性は、多くの人が指摘しているところです。

特に普段海外に憧れの強い人ほど、たとえばアメリカやヨーロッパなどを一人旅をしてみることによって、日本の素晴らしい所や優れている部分を認識し直す人が多いようです。海外留学して日本の素晴らしさに気づく人もたくさんいます。

そして驚くほど多くの外国人が日本の歴史・文化・伝統に興味をもっていることを知るのです。これは実際に海外を旅してみて初めてわかることでしょう。
しかし残念ながら、肝心の日本人の方が日本のことについて答えられずに困ってしまうというケースも増えているそうです。

そういった影響もあってか、海外に一人旅に出てみることで「自分の国についてもっとよく知ろう」とか「日本のことを勉強してみよう」と感じる日本人がたくさん出てきているといいます。これは非常によい傾向だと思います。

実際に旅に出てみることで自分の生まれた国のことを改めて好きになり、日本の歴史や文化を勉強し直してみようと考える若者が増えていることは喜ばしいことでしょう。

そして旅で出会った人々に胸を張って自国のよさをしっかりと語れるようになることこそ、日本人にとって価値のあることであり、本当の意味でのグローバルスタンダードといえるのではないでしょうか?

 

まとめ

本記事で紹介した本田直之さんは『実際の旅は、有限性のなかでいかに楽しむかの、絶好のトレーニングだ』と言っています。(前掲書 106頁)

人生は有限なのですから、私たちは自分の価値観を明確にして、自分なりの人生を歩んでいかなければなりません。忙しい日常を生きていると、つい同じような毎日がこれからも続くと思ってしまいがちです。

しかし時間は有限なのです。それに気づくことによって、私たちは毎日を貴重な経験として生きていくことができるようになるでしょう。

一人旅はそのよいきっかけを与えてくれますし、人生で本当に大切にしたいことに気づかせてくれるのです。あなたもぜひ、自分なりにテーマを掲げて一人旅に出掛けてみてください。必ず得るものがあるはずです。

カテゴリー: 雑記

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新卒で入った会社をわずか1週間で辞め、個人事業主として生きています。メディア運営の知識やノウハウを最大限発信していきます。

1件のコメント

村山史江 · 2019年11月12日 7:42 AM

今、海外1人旅の最中です。
日本で会った、現地の友達に会ったり、有名リゾートや、この国の最高峰に登ったりしています。
ホテルで見たとある競技の優勝者が、男女共に日本人で、日本も凄いな、と思ったり、リゾートでツアーに1人参加してたら、外国の子が話しかけてくれたり、山でお喋りした人が日本に行ったことがあり、大好きだと言ってたり、この地の同業者とお喋りしたら、私の住むエリアに来た事もあり、日本は毎年行くと言ってたり。
初海外レンタカー、運転もしました。
山場は超え、あと半分残ってますが、とても楽しめています。
改めて、日本好き、日本人でよかったと思えました。
前回の海外1人旅も似たような内容でしたが、色々考えすぎて疲れすぎて、あまり楽しめませんでした。
悩みがないわけではありませんが、今、私はとても自由に、1人を謳歌できているのではないか、と思います。
1人旅、繰り返してしてみたらいいと思います(^-^)

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