タスク管理は全ビジネスマンに欠かせない能力の一つと言えるでしょう。「仕事を効率的にすばやく終わらせたい」というのは、多くの社会人が考えていることではないでしょうか?そういったニーズに応えるべく、巷には効率的なタスク管理について書かれた本が山のように存在しますし、ネット上にもそういった情報がたくさんあります。
しかしそういったノウハウやテクニックを身に着けても、結局は思うように成果を出せずに悩んでいる人も大勢いるのが実態です。その原因は自分の「仕事の本質」を理解していないことや「時間の管理」について目が向いていないことにあるのではないでしょうか?
そこで本記事では、本当の意味で効率的でパフォーマンスの高い仕事をするためのタスク管理について考えてみます。
まずは「時間管理」を徹底する
タスク管理は「時間管理」から
おそらく本記事を読んでいる人の多くは、これまでにも様々なタスク管理に関する書籍を読んだり、ネットで情報を集めたりしてきたのではないでしょうか?
特にインターネット上には仕事の管理に関する様々なノウハウがたくさん紹介されており、とても一人では読みきれないほどの情報があふれています。
しかし残念ながら、そういった情報を吸収してもなかなか効率的に仕事ができないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
実はその最も大きな原因として、そのタスクにかかる「時間の管理」がおろそかにされていることが挙げられるのです。特に企業に勤めている人は、効率的にタスクをこなしていく上でどうしても時間管理についても真剣に考える必要があります。
なぜなら、会社では周囲の様々な人々によって「少し時間いいですか?」とか「これお願いできる?」といったふうに、こちらの目の前の仕事とは無関係なことで時間を奪われてしまうことが多いからです。
さらには、あまり効果があるようには思えないミーティングや明らかに無駄だと思われるような会議にも時間をとられる場合もありますし、取引先からの突然の電話や呼び出しによって仕事を中断させられることも頻繁にあるでしょう。
人によっては誰かから仕事を頼まれたり、クライアントから頼りにされることで仕事のやりがいを感じることもあるかもしれません。それはそれで確かなことなのでしょうが、自分にとって本当に大事な仕事(タスク)に集中できないというのは、長期的に考えてみるとかなりのマイナスになってしまうことを知る必要があります。
仕事の「中断」の悪影響は計り知れない
たとえばある調査によると、企業に勤めてデスクワークをしている人が目の前の仕事に集中し続けられるのは、たった5分にも満たないそうです。当然、その何倍も集中して目の前のタスクをこなすことができる人もいますが、平均してみるとその程度の集中しか維持できていないといいます。
自分の集中力に自信がある人のなかには、もしかするとこの調査に反発したくなる人もいるかもしれません。しかし重要なことは、この調査において集中力が維持できない一番の原因として挙げられている事柄です。
実は、この調査の対象となった人々はとりわけ集中力散漫なタイプだったのではなく、ほとんどの人が「周囲からの妨害」によって集中力を維持できなくなっていたのです。
具体的には、目の前のタスクが中断させられる原因の60%が他人が原因となっていて、本人が中断の原因となっていたのは40%程度だったといいます。
つまり、多くの人が目の前のタスクに集中し続けられないのは、たとえば同僚から急に声をかけられたり、スマートフォンが着信を知らせたり、メールの着信音が鳴ったり・・・といった外部的要因のせいなのです。
効率的で生産性の高いタスク管理法を考えるうえで、この事実を見過ごすことはできないと思います。特に普段から注意力が散漫になりがちな人は、なるべく集中してタスクをこなせる環境を作り上げることに力を入れなければならないでしょう。
携帯機器の「存在」にご用心?
このことに関して、今年(2017年)の1月14日付けの産経新聞に「スマホ、あるだけで気が散る? 使わなくても認識・判断に影響」という興味深い記事が掲載されていました。
北海道大学の河原純一郎准教授らが、
『携帯電話やスマートフォンは、たとえ画面を見て操作していなくても、端末がそばにあるだけで注意が損なわれ、認識や判断が遅くなるとの実験結果(※著者により本文一部改変)』
出典:産経WEST「スマホ、あるだけで気が散る? 使わなくても認識・判断に影響」
を得たというのです。
驚くべきことは、たとえスマートフォンなどの電子機器の電源を切った状態だったとしても、端末がそばにあるというだけで判断能力が落ちてしまう可能性があるということです。
今の時代、スマホを中心とした携帯端末を持ち歩いていない人はほとんどいないはずです。私たちの仕事場にも当然のように持ち込んでいるはずですし、仕事でよく使うという人もたくさんいるでしょう。そういった端末なしでは仕事にならないという人すらいるかもしれません。
しかし、特にデスクワークなど目の前のタスクに集中しなければならないときには、こういった人間の注意をひく電子機器は邪魔以外に何物でもありません。
どういった理由で端末の存在自体が注意力散漫の原因となっているのかはまだわかっていないようですが、いずれにせよ、私たちは集中して目の前のタスクをこなせるような環境づくりについて積極的に考えていかなければならないでしょう。
成功している起業家や経営者のなかには携帯電話の類を一切持っていない人が多いのには、それなりの理由があるはずです。
「時間が足りない!」と嘆く前に・・・
効率的で生産性の高いタスク管理法を確立する上で、積極的な時間管理が必要であることを述べてきました。あなたも机上の空論ではなく、自分のための時間管理法をマスターする必要があるでしょう。
そのポイントはすでに述べたように、目の前の重要なタスクを妨害しようとする「邪魔」をなるべく排除するということです。特にあなたが経営者をはじめとした管理職に就いているならば、あなたの時間はまさに千金の価値があるといえます。決して無駄にしてはいけません。
特に巷で「成功者」と認識されているような人は、他者からの「邪魔」を徹底的に排除していることが多いようです。重要なタスクをこなしているときは、たとえ部下からの連絡にすら一切レスポンスを返さないという人はかなり多いようです。
彼らは徹底的に無駄を排除しようとします。
そもそもたとえ仕事であったとしても、外部と常に接触できる状態にしておかなくてはならない類のものはそれほどないはずです。特に自分でビジネスを運営していたり、経営者ともなれば、外部からの連絡よりも目の前にある仕事の方が企業にとって重要だという場合が多いのではないでしょうか?
ですから、自分にとって重要な仕事を最も効率的にこなせる環境を作りましょう。それが結果的に、効率的なタスク管理を実現することになるのです。
「目的」からブレイクダウンせよ
一度立ち止まって考えてみよう
前項では効率的なタスク管理の前提として、まず時間管理を徹底させる必要があることを説明しました。おそらくあなたも「時間」という視点を前提としてタスク管理を考える機会は、これまであまりなかったのではないでしょうか?
そのうえで、さらにあなた自身の仕事の「本質」を追及する必要があります。
すなわち、あなたの会社・ビジネスにとって「本当に重要なこと」を見極め、それを中心にタスク管理を考えるということです。仕事に明確な優先順位をつけることができなければ、いかに効率的に仕事をこなすノウハウを身に着けたところでパフォーマンスを上げることはできません。
あなたがもし今現在、盲目的にタスクをこなしているならば、ぜひ一度立ち止まって考えてみましょう。できればまとまった時間をとってください。そして「なぜ、今そのタスクをやるのか?」について俯瞰的に考えてみましょう。あなたの仕事の「目的」について考え直してみるということです。
これまで多くのビジネス書や仕事管理法についての書籍でも似たようなことが述べられてきたと思いますが、もっとも手っ取り早く効果的に仕事の生産性を向上させる方法は、自らの仕事の「コア」にあたる部分を掴むことでしょう。言い換えれば、自分の仕事を定義し直してみるということです。それによって、本当に必要なタスクとそうではないものを冷静に見極めるのです。
仕事の「本質」をタスク化せよ
かのピーター・ドラッカーは、仕事のパフォーマンスを上げるために『何を目的としているのか。何を実現しようとしているのか。そしてなぜそれを行うのか』を自問せよと述べています。
あなたがいくらすばやくタスクをこなす方法を身に着けたとしても、それがあなた自身や企業全体、あるいはあなたの所属している部署の「目的」に適うものでなかったとしたら、あなたの今目の前にあるタスクは仕事の「本質」ではありません。いくら効率的にこなしたとしても意味がないものなのです。
しかし残念ながら、多くの人が効率的に作業をするという「手段」が目的化してしまっています。これでは本末転倒ではないでしょうか?
あなたはまず、自分の仕事の「本質」について理解する必要があるでしょう。そこから一つひとつの仕事を「タスク化」するのです。このプロセスを経ずして小手先のテクニックを身に着けても効果は期待できないでしょう。
達成したい「成果」は何か?
そして一つひとつのタスクをこなす前に、せひ「達成したい成果は何なのか?」と自問してみましょう。つまり「このタスクは何をもってゴールとするのか?」を自分なりに明らかにしておくのです。
人によっては些細なことに思われるかもしれませんが、これによって目の前のタスクと最終的な「目的」がどう繋がってくるのかを常に意識することができるようになります。
人間はつい楽な方に流されてしまう生き物であり、一定期間「ゴール」について考えなければ、いつの間にかそれを忘れてしまうようになります。そして気がつくと、それが実は遠回りであるにもかかわらず、盲目的に目の前の作業に没頭していることが多いのです。
これは誰しもが経験のあることではないでしょうか?
ですから、なるべく仕事の前に「達成したい成果」について意識することを心がけるようにしてください。それから一日の終わりに、その日の仕事ぶりについて自分なりに評価してみるとよいでしょう。
もし満足できるタスク管理ができたのであれば、具体的にどういうふうに作業をしたから効率的な仕事ができたのかを自分なりに明らかにしてみてください。反対に思うように成果が上げられなかったのならば、その原因を突き止めましょう。そして今後そうならないためにどうすればよいかを考えましょう。
本当に基本的なことに感じられるかもしれませんが、それが基本であるがゆえに軽視してしまっている人が大勢います。
しかし結局はこういった基本を尊重することこそが、効率的なタスク管理法を自分なりに身に着けるための一番の近道なのです。
まとめ
効率的なタスク管理法を確立するには、誰でもそれなりの時間を要します。そして何より地道な努力が欠かせないのです。
たんに「時間がない」と慌てたり愚痴をこぼす時間があるのなら、常に仕事を本質的に考え、徹底的に時間を管理する努力をすべきでしょう。
そのうえで自分の仕事の「目的」を常に意識しておく必要があります。あなたは何らかの目的があって今の仕事をしているはずであり、目の前のタスクをこなすために仕事をしているのではないはずです。
ですから小手先のノウハウに走るよりも、まず本質的な部分を自分なりに明らかにしてください。そのうえで自分に合ったタスク管理法を試行錯誤しながら確立していってもらいたいと思います。
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