日本は「ストレス社会」と言われるようになってから既に何十年も経過していますが、近年ますますストレスに関する問題を抱える人が増えてきています。
特に社会人は常に仕事のプレッシャーに晒されているといっても過言ではないでしょう。そのため過度なストレスで精神疾患にかかってしまう人もいます。

ストレスには個人差があり、さらにコントロールが上手な人もいれば、少しのストレスでも拒否反応を示してしまう人もいるでしょう。
今回は、特に仕事のストレスをいかに解消するかを考えてみたいと思います。そのために従来型のストレス対処法の問題点を取り上げ、正しいストレスの解消のヒントについても述べたいと思います。

 

「ポジティブ」は危険?

ポジティブ思考は万能か?

ポジティブ
Antoine Gady / flickr

ストレスが私たちにとって重要な問題となるにつれ、心理学や自己啓発の分野では、いわゆる「ポジティブ思考」あるいは「ポジティブシンキング」といった概念が取り沙汰されるようになってきたのはここ何年ほどのことでしょうか?

仕事上の予期せぬトラブルや社会的なプレッシャーなどによって、私たちは日々何らかのストレスに晒されることになります。それは私たちがどれほど避けようとしても、完全に避けることは不可能です。外部の出来事を完全にコントロールすることなど、人間にはできないからです。

しかし日々の社会的なプレッシャーによってストレスが溜まり、精神的に限界が訪れることもあります。そのため自分自身をケアするために、利己的な感情を何よりも優先して尊重しなければならない場面は誰にでも訪れるでしょう。

そんなとき、従来のポジティブシンキングでは、私たちの周囲で起きる出来事の解釈を変えようとします。自分にとって都合のよい方向に認識を切り替えることでネガティブな出来事を乗り越えようと考えるわけです。

多くのビジネスパーソンが、こういった「モノの見方」を変えることで出来事の意味づけを変えてストレスに対処しようとすることがわかっています。おそらくこれまでポジティブシンキングが巷で取り沙汰されてきた影響が強いと思います。

 

ポジティブシンキングの落とし穴

落とし穴
Christopher Sessums / flickr

さらにそういった考え方のなかには常にポジティブな状態でいることを推奨するものも多く、そのため自らにネガティブな感情が生まれること自体を否定しなければならないという脅迫観念のような考え方を持つ人も少なくありません。

しかし、残念ながらそういった考え方はいずれ限界が訪れます。心理学の研究では、そういった思考法を貫き通した反動で、以前よりもさらにネガティブになってしまった例が数多く報告されているのです。

ですから、軽度のストレスならば従来のポジティブシンキングで問題はありませんが、慢性的に重いストレスに悩まされているような人は、そのような思考法は逆効果になってしまう危険があるので注意が必要です。

実際には、むしろネガティブな状態を積極的に肯定することで自らの精神を落ち着かせる方が長期的にみれば有効な場合が多いのです。

たとえば自分を立て直すために少しの間、世の中から離れてるなどして精神的なエネルギーを補填するなどの対策が効果を上げることもありますし、場合によっては思い切って職場環境を変えることも必要になるかもしれません。

自らのネガティブな感情に蓋することなく、まずはその状態をしっかりと受け入れることが最重要となることもあるのです。人間は他人に嘘をつき続けることは可能かもしれませんが、自分自身の感情を偽り続けることはできないのです。

 

「気にしない」は逆効果

落ち込む

特に仕事で過度なストレスがかかっても「気にしない」という方法で乗り切ろうとする人は注意が必要です。なぜならば、人間の心はネガティブな出来事を「なかったことにする」ことはできないからです。これは心理学の世界では既に広く知られていることです。

自分に関わりのないことならばすぐに忘れてしまうでしょうが、自分の心身に悪影響を及ぼすような出来事を完全に無視できるようには人間はできていません。当然、人によってその受容度には差があるものの、自らに訪れる危険を回避するのは動物である人間としては当然の反応なのです。

そしてその法則はネガティブな出来事にも当て嵌まります。自分にとって「嫌だな」とか「逃げ出したい」という感情を自分のなかで「なかったこと」にしたり、あるいは気にしないようにして誤魔化すということを、本質的に私たちはできないのです。

むしろそういった感情をなかったことにしようとすればするほどに、その感情に飲み込まれていってしまいます。

ですから、結局は自分の感情は正しく自分で解釈をして、しっかりと受け止めなければなりません。これまでのストレス対策は「自分の感情」という最も重要な要素を蔑ろにしたまま、いたずらにポジティブな考え方だけを押し付けるものだったのです。

当然、これでは問題の解決にはなりません。

 

ストレスの本質を知る

原因を知らなければ解決はできない

ボールペン

これまでストレス対策としてのポジティブシンキングの落とし穴について述べてきましたが、あなたがもし仕事のストレスに押し潰されそうになっているのなら、下手に思考法を変えるよりも、ストレス自体の詳細を知ることからはじめる必要があります。

自分が晒されているストレスを知らないために、私たちはどうすればそれが解消できるのかが分からないのです。

これは言われてみれば当然の話なのですが、現代では仕事におけるプレッシャーやネガティブな心の状態はすべて「ストレス」という言葉で一括りにされてしまっているため、その本質が見えづらくなってしまっています。

自分の心身にどういった負荷が掛かっているのかを知らないまま、そこから発生した症状だけを緩和しようとするのが、これまでのストレス対策と呼ばれるものでした。
しかし当然ながら、それでは問題の根本的な解決にはなりません。

つまり、込みあがってくる感情の方向を変えるノウハウが従来のポジティブシンキングをはじめとしたストレス・コントロールだったわけですが、一方でストレスの原因をしっかりと理解して、それを取り除こうとするアプローチこそが本当のストレス対策といえるものなのです。

 

ストレス耐性は人によって決まっている

stress

ですから、まずはあなた自身がストレスに晒されて参っているという「結果」ではなく、どうしてそのような状態になっているのかという「原因」についてもっとよく知らなければなりません。

特に仕事のちょっとしたミスや上司からの叱責で凹んでしまい、それによって自分の精神的な弱さを責めてしまっているような人は注意が必要です。
そういう人は自分のメンタルの弱さを嘆いてしまう傾向があり、ひたすらメンタルを強くするためのノウハウを探し回ってしまう場合があります。しかしこれも根本的な問題の解決にはなりません。

なぜならば、精神的にどの程度の負荷に耐えられるかどうかというのは、ある程度遺伝子のレベルで決まってしまっているからです。

ですから、無闇に自分自身のメンタルを強化しようと躍起になるよりは、今自分に降りかかっているストレスの原因を突き止め、それを取り除くための施策を練るほうが建設的なアプローチなのです。

もしあなたがそのような状態に陥っているのならば、闇雲に自分を変えようとするのではなく、今現在のあなた自身の「心の状態」がどうやって引き起こされるのか、その原因について考えましょう。

そしてストレスの原因があなた自身の行動で取り除けたり、緩和できるものならば、そこにフォーカスして行動を起こしましょう。それこそがストレスコントロールで最も重要なことです。

 

一人で抱え込まない

感情を「消化する」ということ

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繰り返しになりますが、人間は自らの感情を無視して生きていくことはできません。
ですから、あまりのストレスに押し潰されそうなときは、そこから逃げるという行動も当然必要になります。

「自分は強くあらねばならない」とか「逃げるのは弱い証拠だ」といった価値観でストレスに晒され続けると、本当に心身が疲弊しきってしまうことになります。
人間のストレス耐性というのは人によって千差万別で、ほとんど変えられるものではありません。

ですからストレスによって感情が肥大化してきたときには、それをしっかりと消化し切ることが重要です。有り体に言えば、泣きたければ泣けばいいし、どうしようもなければ逃げる方法を考えてもいいのです。

一番問題なのが「自分はこんなに弱くない」と意地を張って自分の本当の感情を無視して走り続けてしまうことです。ストレスがもとで自殺をしてしまう人が年々増え続けているともいわれますが、そのほとんどがこういったタイプの人です。

当然、仕事では逃げられないことも多いでしょう。しかしだからといって何の対策もとらずに「根性論」だけで突っ走ってしまうと、いつか必ず潰れてしまいます。
ですから、上述したように現実的な対策をしっかりと考え、ストレスが深刻なレベルに達する前に対策を打っておくことです。

仕事のスケジュールがキツければ、しっかりと見直しましょう。上司に相談してもよいでしょうし、それが無理ならば思い切って転職を考えてもよいのです。あなたの人生なのですから、あなた自身が責任をもたなければなりません。

 

他人の手を借りる

Meeting

いざという場合には、積極的に周囲に助けてもらうことも必要です。
誰にでも助けが必要な場面は訪れますし、特に仕事では誰かの助けがなければ乗り越えられないことは多々あります。

無理をせずに、あなたが適当だと思うところで他人の助力を請いましょう。当然、自分の仕事は自分で責任をもってやらなければなりませんが、たいていストレスコントロールを誤ってしまう人は、自分で何でもやってしまうような人です。

苦手なことがあるならば、それが得意な人に依頼すればよいのです。あなたはなるべく自分の強みを活かせる得意な仕事に従事するようにしましょう。それによってあなたが感じるストレスは全くレベルの違ったものになるはずです。

また、自分だけでどんどん仕事を抱えこんでいないか冷静に考えてみましょう。
仕事を振り返ってみて、特に必要もなくやりたくもない作業に首を突っ込んでしまっていたりはしないでしょうか?

誰かに仕事を依頼されたとして、それをこなすための時間が本当にあるのかどうかよく考えてみてください。自分の心身に負荷がかかりすぎるなら断ってしまいましょう。

ストレスで潰れてしまう人の多くは、自分から断ることの苦手な人です。
相手を慮るのはよいことですが、それによってあなた自身が潰れてしまっては意味がないのです。自分を犠牲にしてはいけません。

ぜひ、こういった細かいところからストレスを解消させていきましょう。ストレス対策ではこういった地道なアプローチが、最終的には大きな成果となって現れるのです。
心の「内」に目を向けることも重要ですが、同様に私たちは「外」にも目を向けなければなりません。

 

まとめ

本記事では、間違ったストレス対策として主にポジティブシンキングとその落とし穴について取り上げました。
こういった思考法に代表されるように、近年ではストレス対策というとどうしても自らの「内面」にフォーカスする傾向が強くなっています。

それはそれで重要なことなのですが、それが行き過ぎるあまり私たちは自分の仕事環境をはじめとした「外面」になかなか目が向かなくなっているではないでしょうか?

たいていの仕事上のストレスは外部へのアプローチによって解消できたり、緩和できたりするものなのです。私たちはそのことを忘れてはいけないと思います。
まずは細かい所からでも構いませんから、ぜひ自分に合った仕事環境を整えるための行動を起こしてください。

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